1: 2016/11/05(土) 17:38:33.37 ID:CAP_USER9
 FCコペンハーゲンとのチャンピオンズリーグ(CL)第4節の先発メンバーに、レスター・シティの岡崎慎司の名前はなかった。

 ここまでプレミアリーグで2試合連続の先発出場を果たし、10月29日に行なわれたトッテナム・ホットスパー戦後にはクラウディオ・ラニエリ監督が日本代表FWを名指しで賞賛する一幕もあった。しかも、ポジションを争うライバルのFWイスラム・スリマニが鼠径(そけい)部を痛めて欠場。キャリア初となるCLでの先発に近づいたと思われた。

突然の5バックシステムで攻撃陣もかみ合わずドローに終わる ところが、ラニエリ監督は岡崎をピッチに送り出さなかった。最大の理由は、イタリア人指揮官が突然採用した「5バックシステム」にあった。

「3人のCBと2人のウィングバック」を配した最終ラインは、守備時に5人がフラットに並んで守備を固める。しかし攻撃時は、ウィングバックが中盤まで位置を押し上げることから、3?4?2?1のようにも見えた。ただ、岡崎ですら、「5バックは想像もしていなかった。(練習もしっかり)していなかった」と語るように、練りに練った策ではなく、ラニエリが突発的に採用したようだ。

 その影響だろう。コペンハーゲン戦でのレスターは、チグハグなプレーばかりが目についた。特に5枚の最終ラインは安定感がなく、CBのウェズ・モーガンはトラップミスからピンチを招き、CBのロベルト・フートも相手のパスの目測を誤って後逸。慌ててファウルで敵を止め、警告を受ける場面もあった。前任のナイジェル・ピアソン監督時代は5バックを用いていたが、ラニエリがこのシステムで公式戦を戦うのは初めてのことだ。

「たぶん監督の狙いとしては、守備を固めて、カウンターで(MFリヤド・)マフレズと(FWアーメド・)ムサ、(FWジェイミー・)バーディーでゴールを獲るという……。相手がラインを上げてくるのもあるんで、DFラインの裏を狙っていたんだと思うんです。

 でも、(突然採用したことで)けっこう戸惑いがあったと思う。もっと激しく前からいく5バックだったらよかったが、5バックが並んで引いてしまう形だと、相手にボールを回されてしんどい。そういうストレスがジリジリかかってミスが起きた」

 このシステム変更は、岡崎の起用にも大きな影響を及ぼした。攻撃陣と呼べるのは、CF1人と両ウィング2人の「計3人」。最前線「1」の位置に陣取るのは、スピードのあるバーディー。両翼にも、速さのあるウィンガータイプのマフレズとムサを配した。

 速さを持ち味とする選手を起用したことから、この布陣の場合、日本代表に与えられるポジションは「たぶんない」(岡崎)。「このフォーメーションだったら、俺の出場は『ないな』という感じで見ていた」と言う。

 しかし、指揮官のプランはすぐに崩壊した。守備は一向に安定せず、攻撃もCFのバーディーが孤立。パスの出し方をめぐってバーディーが仲間に強く指示を出すシーンもあり、チーム全体がフラストレーションを抱えているのは明らかだった。すると、前半終了間際に4?4?1?1へとシステムチェンジ。手慣れた4バックに戻したことで守備は安定し、攻撃もパスが回るようになった。

それでも、レスターは流れを自分たちのもとへ引き寄せられず、時間だけが経過していく。岡崎に出番の声がかかったのは、そんなタイミングだった(71分)。トップ下としてピッチに飛び出すと、チームのエンジンをかけようと精力的に走り回る。81分にはバーディーがヘッドで落としたボールに合わせようとしたが、わずかに届かなった。その2分後にもペナルティエリア手前の位置からドリブル突破を試みるも、敵にブロックされた。

「途中から出て、あれだけ走り回らされたら、やっぱりきついですね(苦笑)。リズムも掴めていないのに、やたら『前へ行け!』と言われて。相手に(パスコースの)トライアングルを完璧に作られている状況でも追いかけた。流れをもうちょっとで引き寄せられそうなところまで来ていたと思いますけど……決定的な場面もなかった」

 消耗がかなり激しかったのだろう。試合終了のホイッスルが鳴ると、岡崎は両手をひざに置き、そのまましゃがみこんでしまった。だが、日本代表FWの投入も試合展開を劇的に変えるところまで至らなかった。スコアは0?0。グループリーグ突破に向けて大きく前進したが、チームとしては不安が残る内容だった。
 
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