1: Egg ★@\(^o^)/ 2016/02/02(火) 12:48:20.46 ID:CAP_USER*.net
no title 【特別寄稿 サッカージャナリスト・六川亨】

 リオ五輪予選決勝の前半、日本の決定機はゼロだった。決勝前日の3位決定戦のイラク―カタール戦は、「勝たなければならない試合」。五輪出場を決めた者同士の日韓戦は、「負けたくない試合」。韓国にしても準決勝のカタール戦で見せた迫力満点の波状攻撃は影を潜め、緩い雰囲気の漂う45分だった。

 0―2とリードされた日本は攻撃を活性化するために60分、ボランチのMF大島に代えてFW浅野を投入。韓国は日本をナメていたのだろう。俊足の浅野を警戒することなく、DF陣の背後に広大なスペースを用意してくれた。そこを突いて67分に浅野が1点を返し、続けざまにMF矢島がヘッドで同点弾を決める。そして81分にカウンターから、またも浅野が抜け出して決勝点を決めた。

 ここまでノーゴールだった浅野は「ジョーカーは自分しかいない」と心中期するものがあり、同点弾の矢島は「起用し続けてくれた手倉森監督の期待に応えたい」という強い思いがあった。

 手倉森監督は「2人を“我慢”して起用した」ことで、潜在能力を引き出した。1次リーグから選手起用がズバリ的中し、そのたびにチームに一体感が熟成されていった。

 リオ五輪で手倉森ジャパンは番狂わせ、「ジャイアント・キリング」を起こす可能性はあるか? 私自身は「秘めている」と思っている。

 4年前のロンドン五輪3位決定戦。関塚ジャパンはボールポゼッション(支配率)で上回りながら、韓国のロングボール主体の攻撃に敗れメダルを逃した。

 ほんの数年前まで、例えば中東勢なども日本にカウンターで対抗してきた。しかし、今大会は韓国、イラク、イランなど大半のチームが長短のパスをつなぎ、ボールポゼッションで日本を上回った。

 もはやポゼッションサッカーは日本のお家芸ではない。そういう状況を踏まえた上で手倉森監督は、まずはチーム全体で堅く守り、攻めてはショートカウンターを武器にすることを選択した。

 ちなみにこれは、ハリルホジッチ監督が日本代表で目指しているサッカーと同じスタイルだ。あえてボールポゼッションにこだわらず、現実路線を突き進めることが、五輪代表では見事に奏功して優勝という結果を残した。

 今のスタイルに磨きをかけ、そして選手個々がもう一段レベルアップを果たせば、メダル獲得も決して夢ではない。

▽ろくかわ・とおる 1957年9月、東京都生まれ。法政大卒。近著に「7人の外国人監督と191のメッセージ」(東邦出版)。

2016年2月2日
⇒ポゼッション捨て頂点に 手倉森U-23が選んだ「現実路線」(日刊ゲンダイ)

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