1: 2016/06/26(日) 19:37:38.44 ID:CAP_USER9
「悔しくてしかたない」-。これが、イングランド・プレミアリーグ挑戦一年目にして、「奇跡の優勝」を経験した選手の言葉だとは思えない。発言の主は、レスター所属の日本代表FW、岡崎慎司(30)。新著『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ、780円+税)には、この「悔しい」発言の真意や、試合のたびに岡崎が繰り返した数々の自問自答が、赤裸々に語られていた。(本間英士)


 ■一言でいうと「悔しいシーズン」

 《岡崎は昨年6月、ドイツ・マインツからイングランド・レスターに移籍した。レスターの前季成績は14位。からくも残留争いを勝ち抜いたチームだ。ところが、「降格候補」のレスターは次々と強豪チームを打ち破り、チーム創設132年での初優勝を達成。全世界のメディアが「世紀の番狂わせ」「奇跡」などの見出しを付けて報道した》

 元々は残留を目標とするチーム。優勝するとは全く想像していませんでした。優勝の瞬間は(チームメートの)バーディーの家で迎えましたが、頭が真っ白になるくらい、うれしい瞬間でしたね。

 《今月中旬、東京都内で行われた『未到』の出版記念会見。岡崎はこのように笑顔で語ったのち、表情を変えずにこう続けた》

 そのあと感じたのは、「悔しい」という思いです。達成感がない状態というか、一言でいうと、悔しいシーズンでした。


 ■「損な性格」だから貪欲になれた

 《岡崎がこう語ったのは、何よりも、自身の昨季のゴール数が出場した36試合で5ゴール(リーグ戦)に留まったからだ。求められる「役割」が異なるとはいえ、同じFWのバーディーは24ゴール。マインツで2年連続の2桁得点を記録した岡崎が満足できる数字ではない》

 普通に、優勝を楽しみたかったんですけどね。損な性格なのかもしれません。でも、だからこそ、この一年間貪欲になれた。毎試合60~70分で交代させられて、悔しい思いをしたけれど、ずっと充実はしていたし、ゴールを追い求めることができた。レスターに移籍して、本当に良かったと思います。

 《「本当にいいヤツらばかり」。岡崎は会見で、チームの仲の良さを何度も強調した。ただ、FWのバーディーやGKのシュマイケルをはじめ、「イタズラ好き」が多いことには困っている、と苦笑する。たまにいきすぎるケースがあるといい、練習後のロッカールームで、濡れた靴下を「すごい勢いで」投げつけられたエピソードを披露。「ガチでキレた」と振り返る》

 僕が「ヘーイ!」ってキレたのに、みんなからは爆笑されて…。本気でキレているのに、こういうキレ方しかできないから、またそれが笑いにかわる。損やな、と思います。(日本代表で)後輩にイジられたときは、さすがに「これでええんかな?」と思いましたが、チームが和むからええんかな、とも思います。


 ■「保育士」の道もあった?

 《ここまでの進路は、決して順調ではなかった。2005年に清水エスパルスに入団したときは、FW8人中の8番手》

 入った当初は日本代表どころではないです。正直、プロでやっていけるか、自分でも心配なくらいでした。

 《「別の道」を模索しかけた時期もあった。1年目には、通信教育で「保育士」の資料を取り寄せたという》

 僕は子供好きですし、1年目のわりと早い段階でそういうことは考えましたね。資料は、取り寄せただけで終わりましたが…。

 《その岡崎が、なぜここまで活躍できているのか》

 うれしかったことより、悔しかったことの方がよく覚えているんです。天皇杯やナビスコ杯の決勝で負けたこと、(2013年の)コンフェデ杯でブラジルに0-3で力の差を見せつけられた試合、ブラジルW杯でコロンビアと戦って大敗した試合…。悔しい試合があったからこそ、頑張ってこられたのだと思います。
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