1: Egg ★ 2020/03/19(木) 22:33:43.95 ID:Qr+Kk+qB9
ロペスは高校サッカー選手権のスタンドの光景を見て、怪訝そうに幸野に尋ねてきた。ピッチ上の選手と同じユニフォームを着た大勢の選手たちが応援していたからだ。

「あれは応援団なのか?」
「選手だよ」
「どうしてスタンドにいるんだ? なぜ日本はチームに人数制限をしないんだ? 欧州のクラブはみんな20人程度に制限しているぞ」
「たぶん、そんなことをしたら学校は潰れる」
日本の妙な習慣も、ロペスは不思議で仕方がない様子だった。

「ドリブル専門のスクール、朝練習、自主トレ……、これほど情報化が進んだ時代だ。もし効果があるなら、欧州でも取り入れているはずだろう」

 もちろん、幸野も同感だ。

「サッカーは、認知、判断、実行の繰り返しです。今、何をするべきか、選手たちは一瞬で判断して実行に移さなければならない。ところがドリブルという実行の部分だけ上達しても、肝心の前段階が備わっていなければ、足もとに来たボールはすべてドリブルで運ぶ選手ばかりが生まれてきてしまいます」

 そしてロペスが最も驚愕したのは、テレビ画面に全国高校野球選手権の中継が流れてきた時だった。

「どうして、みんな選手たちは髪の毛がないんだ?」
「たぶん強制だと思うよ」
「この時代に、そんな怖いことが起こっているのか! しかもこれほど酷い光景がずっとテレビで放送されているのに、誰も何も言わないのか? 欧州ならすぐに訴訟が起こって大変なことになっているぞ」

 履き違えた過剰な勝利至上主義が鏤められているのに、それを日本人は当然のことだと捉えてしまっている。

 ロペスは言っていたそうである。

「勝利を求めて反省するのは大切だ。しかしどうしても相手が強いことはあるし、いつまでも引きずっていても仕方がない。現実を認めて、明日また頑張ろうと切り替える。それで何がいけないんだ」

 遊びのはずだったスポーツがテレビ中継され過度に注目が集まり、負けた選手たちはこの世の終わりかのように泣き崩れる。

「だから日本にはグッドルーザーが生まれない」

3/19(木) 18:33配信 THEanswer
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200319-00108514-theanswer-socc&p=1

写真no title

引用元: https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1584624823/

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