1: 2016/03/12(土) 17:48:31.64 ID:CAP_USER*.net
 「もちろん、試合中はウェストブロミッジの勝利を追求した。しかし、試合が終わったいま、
私はレスターに優勝してほしいと思っている」

 「今季の彼らは本当に素晴らしい。彼らの情熱、決して止まらない足。昨今のプレミアリーグでは
持つ者と持たざる者の差が激しい。そういう中でレスターが優勝したら、それは真の偉業だ。
私は今季いっぱい、レスターサポーターになろうと思う」
3月1日、サッカーのイングランド・プレミアリーグで、レスターと2―2で引き分けたウェストブロミッジのピュリス監督がこう発言した時、今季初めてレスターの優勝が現実のものになるかもしれないと思った。


■戦力劣るのに首位、人々の感動呼ぶ


 5日、好調のワトフォードとのアウェー戦を1―0の勝利で切り抜けると、レスターの輝きはさらに増した。 ラニエリ監督は試合後のインタビューで「全国のニュートラル(中立)のファンがレスターを応援している」と言われると、「それは肌で感じている」と話した。

 各チーム38試合と長丁場のリーグ戦はマラソンにたとえられる。レスターは開幕から勢いよく飛び出したものの、当初は「いつか必ずバテる」と言われる無名ランナーのようなものだった。
ところが、その無名ランナーが折り返し地点を過ぎても先頭を快走し続けた。それどころか、終盤になってさらに加速し、強豪ランナーたちに明らかな差をつけ始めている。

 何しろ、昨季王者のチェルシー、昨夏にデブライネ、スターリングらを獲得したマンチェスター・シティー、ファンハール体制下で大型補強を繰り返すマンチェスター・ユナイテッドといった強豪がころころと負けているのだ。そんな中、明らかに戦力が劣るレスターがプレミアリーグの優勝争いのトップに立っているという事実が人々の感動を呼び起こしている。ウェストブロミッジのピュリス監督の発言は英国サッカーファンの気持ちを代弁するものだろう。

 実際、日本代表FW岡崎慎司を含めレスターの選手たちは90分間、足を止めず、何度もカウンターを仕掛ける。 何度跳ね返されても、何度ミスを重ねても歯を食いしばってカウンターを繰り出し、ゴールを奪う。 最前線でハイプレスを掛けながらカウンターに出るサッカーを、岡崎は「しんどい」と語る。それでも足は止めない。 その姿が、ブルドッグの猪突(ちょとつ)猛進精神を愛する英国人の心の琴線を震わすのだ。


■移籍金総額が10倍のマンCも撃破

 近年のプレミアリーグではビッグクラブの金満化が進み、「お金がなければ勝てない」という
ある種の絶望感にもつながっている。もちろん、スーパースターが勢ぞろいしたビッグクラブの活躍は、海外のファンを開拓し、隆盛をイングランドにもたらす。しかし、英国のサッカーファンの大半は生まれ育った地元の弱小クラブを愚直にサポートし続けている。だからこそ、今季のレスターの活躍は痛快であり、もしも優勝ということになれば非常にロマンチックな話になる。

 2月6日、レスターがマンチェスターCにアウェーで3―1の勝利を飾った翌日、各紙が両チームの先発陣の移籍金総額を掲載した。レスターは意外にも岡崎の700万ポンド(約11億3000万円)が最高額で、総額2200万ポンド。 今季、大化けし、19ゴールを決めているバーディーは100万ポンド、15得点11アシストのマレズにいたってはわずか40万ポンドにすぎない。

 一方、アブダビ資本を支えにスーパースター軍団となったマンチェスターCの先発陣の総額はなんと2億3000万ポンド。 その金額はレスターの10倍を超える。昨夏、獲得したイングランド代表スターリングの移籍金は4900万ポンドでレスターの総額の2倍を軽く超える。こうした背景があるから、マンチェスターC戦の3―1の勝利は喝采を浴びた。

 かなり古い話になるが、1975年にプロ野球の広島がセ・リーグを初めて制した時、今のレスターが巻き起こしつつある熱狂が日本中を支配した思い出がある。 あの年、プロ野球ファンに「自分のひいき球団がだめなら広島に優勝してほしい」と思わせた赤ヘル軍団のイメージが、今季のレスターとぴたりと重なる。
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