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「健全経営」「観客動員」「グローバル化」…隆盛を極めるブンデスリーガのキーマンが明かす成功秘話と新たな挑戦

すべてのクラブが健全経営を貫き、スタジアムはどんな試合でもほぼ満員。理想的な運営体制を築いているドイツのブンデスリーガは、どのようにしてその成功を手に入れたのだろうか。CEOとしてブンデスリーガを優良コンテンツたらしめたクリスティアン・ザイファート氏が、その成功秘話を語ってくれた。

――イングランドやイタリアでは、海外の投資家が参入することでクラブが豊富な資金を得るという風潮がありますが、ドイツではそのようなケースを聞きません。何でも、20年以上クラブを保有していないオーナーは、最高でも49パーセントまでしか保有権を持つことができない、という「50+1ルール」があるそうですね。

ザイファート よくご存知ですね。先ほど申し上げたように、クラブは地域社会やそこに住んでいる方々にとって大切な存在であり、売買できる製品以上のものだと我々は考えています。投資家の参入は歓迎しますが、長期的なコミットメントを行ない、社会を守る意思があり、クラブや市、地域に対して関心を抱いているということを証明しなければなりません。それが「50+1ルール」の概念です。ブンデスリーガを物のように扱ってほしくないのです。お金は非常に重要ですが、お金だけが重要というわけではないのです。

――ブンデスリーガは現在、18クラブ構成ですが、そこにこだわっている理由はありますか?

ザイファート 欧州のトップリーグの中では、ブンデスリーガだけが18クラブ構成です。20クラブで実施している他のリーグに比べ、シーズンあたり74試合、少なくなります。そのおかげでウインターブレイクを設けることができるのです。選手の健康面を考えると最適なスケジュールですし、代表チームにも利益があります。イングランドの上位クラブでプレーする場合、20チームでのリーグ戦に加えてFAカップ、さらにはリーグカップ、そしてチャンピオンズリーグを戦うことになります。選手は非常に疲れ切った状態で代表の試合に臨むことになります。医師や監督も、ウインターブレイクは選手にとって重要なものだと言っていますので、現行の18クラブを変えるつもりはありません。

――ユースカリキュラムについてもお伺いします。1部、2部の36クラブに対して1億2000万ユーロ(約160億円)と、育成に多額の資金を投じていますが、なぜ、それが可能になるのでしょうか。

ザイファート ユースアカデミーはブンデスリーガが発展するために不可欠です。年間1億2000万ユーロというのは、放映権料の4パーセントにすぎません。私は、リーグに若手を育てるお金がないから育成ができない、というアプローチは間違っていると思います。むしろ逆で、お金が十分にない時こそ、若い選手を育てなければなりません。スイスは2009年のU-17ワールドカップで優勝しました。ベルギーはFIFAランキングで現在1位です。いずれも非常に小さな国で資金も少ないですが、若い選手の育成に投資を増やし、優秀な選手を手に入れることに成功しました。

http://www.soccer-king.jp/sk_column/article/378108.html
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