1:shake it off ★:2018/03/21(水) 15:29:37.19 ID:CAP_USER9.net
◆ 「ほとんど」ノーリスク。リーガ会長の大いなる野望

2018年1月21日、スペインプロリーグ協会(LFP)から1部に5人、2部に4人のサウジアラビア人選手が加入することが発表された。この異例の事態の立役者は、あの史上初のクラシコ13時キックオフを実施した人物と同じ。成長の野望に取りつかれたハビエル・テバス、“剛腕”会長である。

スペインの7クラブに9人のサウジアラビア人選手が加入――と聞くと最初の反応は「なぜ?」だろう。サッカー強国でない、しかもブラジル人やアルゼンチン人に使いたい貴重なEU外選手(3枠)を占めてしまう国からの大量移籍。さらに、移籍発表が当該クラブではなくサウジアラビアで行われたとなると、裏に何かがあると疑うのが普通だろう。くんくん。臭う。このオペレーションには濃厚なお金の臭いがする。

この移籍劇の仕組みは単純明快だ。サウジアラビアの選手を獲る→同国の企業がシャツやスタジアム広告に出資することで即金が入る→中期的には、同国でのリーガへの注目度が高まることで放映権料も上昇し、そのお金がLFPを通じてリーガにばら撒かれて潤う――という絵である。

6月末までのレンタル移籍だからクラブ側の移籍金負担はゼロ。スポンサーの収入(1人当たり500万ユーロ=約6億8000万円と試算されている)がまるまる儲けとなる。選手たちは一流の監督やスタッフたちによる指導を受けられるし、世界的なリーグでデビューできればキャリアアップの大きなチャンスとなる。

ビジャレアルのサレム・アルドーサリ、レガネスのヤヒヤ・アルシェフリ、レバンテのファハド・アルムワラドについては今夏のロシアW杯への参戦が濃厚であり、欧州の空気に慣れるという意味でも意義は小さくない(DATA参照)。
もちろん、彼らが戦力となれば、クラブにとっては経済面だけでなくスポーツ面でも大きなメリット。つまり、スペイン側もサウジアラビア側もWin-Winで大喜び、特にクラブ側にとっては「ほとんど」ノーリスク・ハイリターンというのが今回の大量移籍劇の裏の顔である。

◆ RFEFが噛まなかった理由

かつて、日本人選手のリーガ行きには“スポンサーつき移籍”などの不名誉なレッテルが張られた。乾の活躍によりそのレッテルが剥がされ日本人が実力で評価されるようになるまでには、十数年の年月が必要だった。それをサウジアラビアは、アラブマネーの力で強引に自国選手をねじ込んできた。25人の登録選手枠の1つ、3人のEU外選手枠の1つを金で買ったのである。

クラブにはプレーさせる義務も、ベンチ招集する義務もない。そこは実力勝負。選考の基準についても、「クラブのスカウトがサウジアラビアを訪れて厳しいセレクションを経て選んだ」と説明、サウジアラビア側による強制はなかったとしている。しかし、サウジアラビア人選手の加入によって選手登録枠から外されたり、EU外選手枠が埋まったことで加入の道が閉ざされた選手は確実にいる。「ほとんど」ノーリスクだがマイナス面がないわけではないのだ。

今回の提携の当事者がサウジアラビアサッカー協会とLFPとなっている点に注目してほしい。スペインサッカー連盟(RFEF)は一切噛んでないのだ。なぜか? 選手登録の最後の枠を争うのはクラブ育ちの若手であることが多い。彼らから枠を取り上げてサウジアラビアに売るなんて行為を、育成に力を入れるRFEFが支持できるわけがないのだ。この点、プロリーグの1部、2部計42クラブで構成される業界団体のLFPであれば、リーガの商売繁盛のためにしがらみなく動ける。

2018-03-21_16h19_43
続きを読む