Borussia+Dortmund+v+FC+Schalke+04+Bundesliga+mRZjO9-STbPl
慣れない「右」での起用に戸惑う香川。”目に見える結果”を求めて向き合うべき課題は

現地時間29日に行われたドルトムントとシャルケの”レヴィア・ダービー”はスコアレスドローに終わった。香川真司は右インサイドハーフでスタメン出場したが、ゴールという「目に見える結果」を出すことはできなかった。左サイドではなく右サイドでの起用が増える香川に与えられた課題とは何か。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

スコアレスドローのダービーで手応えをつかんだシャルケ

 新たな課題と向き合う。2016年10月29日のブンデスリーガ第9節、ボルシア・ドルトムントはホームにFCシャルケ04を迎えた。試合前からスタジアムの外では険悪な空気が漂っていた。警官隊に囲まれて進むシャルカーの列に、遠巻きにドルトムンターがビールと罵声を浴びせかける。シャルカーが怒声で応酬する。因縁のレヴィア・ダービーだ。

 攻撃的なサポーター同士の姿とは対照的に、試合が始まるとドルトムントもシャルケも慎重な姿勢を見せた。まずは守備から入る。守備時にドルトムントは4バックに右ウイングのプリシッチが下がって、シャルケは3バックにコラシナツとシェプフの左右両ウイングバックが下がって5バックを形成した。

 先発した香川真司は、しっかりとしたマークでベンタレブに自由を与えず、バイグルはハードにマイヤーを潰す。カウンターを受ける場面もあったが、ドルトムントはシャルケに主導権を渡さなかった。そうかと言って、ドルトムントが主導権を握れたわけでもない。香川は前半を「特に相手もすごくタイトに来ていたから、崩すイメージがなかなか持ちずらかった」と振り返る。

 後半に入るとあまり出てこなかったシャルケをドルトムントは最後の最後まで崩し切ることはできなかった。トゥヘル監督は71分にゲレイロを投入して攻撃に厚みを持たせ、79分にシュールレを投入して畳み掛けたが、ゴールを決めることはできない。

 ダービーは0-0のドローに終わった。敵将ヴァインツィールが「0-0はすばらしい」と手応えを感じたことを考えれば、シャルケに軍配が上がったのかもしれない。



香川が向き合う課題とその可能性

 両者譲らなかったダービーで香川は、右のインサイドハーフで先発した。昨季の前半戦がそうだったように、トゥヘル体制で香川は主に左のインサイドハーフでプレーしてきた。既に途中投入された第7節ヘルタ・ベルリン戦でも見られたが、トゥヘルは新しいポジションで香川の起用を始めている。

 不慣れなポジションに、香川は戸惑いを隠せない。

「左でやれることが理想なんですけど、右だったので、まあそこのやりにくさはちょっとありました。しっかりボールを受けてサイドに散らしたりするしかなかったです」
 
 ゲーム中は左足で逆サイドに展開し、機を見てはエリア内に飛び込むなど、攻撃面で貢献したが、ゴールといった決定的な仕事はできなかった。香川は「目に見える結果を今日も追い求めましたけど、上手くいかなかった」と振り返る。

 トゥヘルからは「バイタルに入っていけ」と言われるのだという。「バイタルにずっと居続けてボールを受けるのは難しいと思うので、2列目、3列目から入って行くイメージを持つようにはしたんですけど、相手も3バックで固めていたんでね、なかなかスペースが良い形であったと言ったら、なかなか…難しかったですね」

 そしてトゥヘルが「右」で起用して「バイタルに入っていけ」と指示するのは、香川ならではチームにもたらせる、何かメリットのようなものがあるからだろう。

「メリットを生み出さないといけないですし、見つけ出さないといけない。そういう意味では、やはりゴール前に入っていかないといけないし、何かしら自分で工夫して攻撃に変化をもたらさないといけないと思っている。それが課題かな、とは思っています」

 これまでとは違うポジションで香川は、新たな課題と向き合うことになった。それはどちらに転ぶか分からない可能性でもある。ドルトムントでの香川の戦いは、まだまだ終わりそうにない。

(取材・文・本田千尋【ドルトムント】)


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161030-00010015-footballc-socc
続きを読む