1: YG防衛軍 ★ 2016/10/23(日) 22:00:26.54 ID:CAP_USER9
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今週末のリーガエスパニョーラでは複数の興味深いカードが組まれている。昨季王者バルセロナは難敵バレンシアと敵地で戦い、欧州覇者レアル・マドリードはバスクの名門アスレティック・ビルバオをホームに迎える。そしてこの2つの試合以上に注目したいのが、清武弘嗣の所属する3位セビージャと前節終了時点で首位に立つアトレティコ・マドリードの一戦だ。今節の最上位対決となるこの対戦には、気になる事柄がいくつかある。

多くの日本人サッカーファンにとって、その最たるものは清武の出場の可能性となるはずだが、現状では極めて厳しい状況と言えそうだ。18日(日本時間19日)に行なわれたチャンピオンズリーグのディナモ・ザグレブ戦では公式戦で2試合ぶりにベンチ入りしたが、この日も最後まで出番はなく、これで6試合連続出場なし。しかも、試合唯一の得点を挙げて勝利の立役者となったのは、清武からポジションを奪ったサミル・ナスリだった。

その試合後、「もどかしい気持ちはすごくある」と26歳の日本代表MFは日本のメディアに話したが、今のセビージャを見れば、ライバルである29歳のフランス人MFがチームの中心であることは明らかだ。

アルジェリアにルーツを持つマルセイユ生まれのナスリは、その出自やプレースタイルから、ジネディーヌ・ジダンを引き合いに出されるほど将来を嘱望されてきた。実際に地元のマルセイユや、アーセナル、マンチェスター・シティで活躍し、フランス代表にも名を連ねていた。

だが昨季は、長引く負傷の影響もあって精彩を欠き、今オフにはシティのペップ・グアルディオラ新監督から「体重オーバー」とプロフェッショナリズムを疑問視されたりもした。それでもナスリは「自分はまだ燃え尽きていない」と自らを奮い立たせ、移籍期限ギリギリにセビージャで再起を誓うと、新天地のホルヘ・サンパオリ新監督の信頼を早々に掴んでみせた。

 事実、ナスリは入団以降、足首の問題で欠場した2試合以外は全試合に先発しており、それは清武が欠場した試合と見事に合致する。つまり、この2人はまだ公式戦で仲間として共にピッチに立っておらず、それは指揮官が2人を同タイプの選手と捉えていることの表れと言えるだろう。清武はナスリの控え──これが厳しい現実である。

ミッドウィークのディナモ・ザグレブ戦では、大きくスケールアップしたナスリの姿があった。これまでは仕掛けや最終局面のプレーに長けたアタッカーのイメージが強かったが、アルゼンチン人指揮官はボランチとしての素養も見出しているようで、本人もその期待に応えている。

 チームメイトからも全幅の信頼を寄せられ、顔を出せば必ずパスが回ってくる。群を抜くキープ力で中盤に時間をつくり、的確な配球で試合をコントロールし(パス数はダントツの146)、常に周囲に指示を出し続ける姿はピッチ上の指揮官そのもの。その上、持ち前の攻撃性能を最適なタイミングで発揮する。得点シーンは味方とのパス交換の後に猛然とボックス内に駆け上がって、濡れたピッチに滑るクロスを高度な技術で難なく仕留めたものだ。

「ナスリは自身の価値を証明しているね。彼は今、キャリア最高の時を過ごしている」と試合後にサンパオリ監督は喜んだ。かつてはトラブルメーカーの側面を見せることもあったが、セビージャでは指揮官の好むハードワーカーに徹しており、パスを出したりボールを取られたりした直後にも説得力のあるプレーを見せる。もちろんコミュニケーションの部分でも清武を大きくリードしている。

 おそらく大きな怪我でもないかぎり、今季のセビージャはナスリを軸に回っていくはずだ。そう考えると、清武はこの背番号10とポジションを争うのではなく、共存の道を模索すべきかもしれない。ただし、ビトーロやフランコ・バスケスといったライバルも強力だし、何より好調のチームはいじらないのがこのスポーツのセオリーだ。となれば、今週の大一番を含め、清武には我慢の日々が続きそうだ。

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