1: YG防衛軍 ★@\(^o^)/ 2015/10/31(土) 20:04:49.74 ID:???*.net

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武藤嘉紀の人生を一変させたFC東京の監督交代劇。
才能だけでは決して成功は掴めない。過去の歴史を紐解けばそれは明らかだが、置かれた環境などにも
左右されるサッカー界でトッププレーヤーになるためには、いかなる要素が必要なのか。中田英寿をはじめ、
小野伸二、中村俊輔、本田圭佑らの足跡をヒントに、スポーツライターの加部究氏が大成するための条件を導き出す。

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 おそらく、フットボーラーの明暗を分ける最も大きな要素は運だ。理解ある監督との巡り合せと言いかえてもいい。
 極論を承知で言えば、リオネル・メッシやクリスチアーノ・ロナウドが、もし日本に生まれていたら少年時代を
ベンチで過ごしていた可能性もある。あるいはベンチに座らなくても、平凡なパサーに終わっていたかもしれない。
 実際、今の日本に、小さなメッシがドリブルばかりしていたとして、守備の負担を軽減してまで、
その長所を我慢強く伸ばそうと考える指導者が何割いるだろうか。
 フットボーラーとしての成否は、かなり成長してからでも依然として不透明なものだ。
C大阪にレヴィー・クルピ監督がやって来なければ、香川真司は控えのボランチという立場に耐えられず、
今もJリーグのクラブを渡り歩いていたかもしれない。

 武藤嘉紀の人生を一変させたのも、FC東京の監督交代劇だ。もしランコ・ポポヴィッチがあのまま
パスサッカーで成功していたら、ドリブルが持ち味の武藤は今頃出番を求めてレンタル移籍の道を
模索していた可能性もある。だからFC東京を率いて今季で2年目のマッシモ・フィッカデンティ監督は胸を張る。

「私が来日した頃は、みんな柿谷曜一朗に注目していて、武藤のことなどほとんど誰も知らなかった」

鉄則どおりの移籍でも柿谷は輝きを放てず…。小野や中村との違いとはなにか?
一方、スキルの高さが必ずしも成功を保証するとは限らないのも、この世界の特徴だ。
柿谷が注目されたのは、スキルやファンタジーが比類ないレベルだったからだ。セレ女
(C大阪の女性サポーターの呼称)に限らず、多くのサッカー小僧も胸をときめかせた。
また過去の例に照らしても、移籍先の選択も理想的だった。小野伸二は当時オランダ三強の一角だった
フェイエノールトのユニホームに袖を通し、瞬く間に圧倒的なスキルで信頼を集め、UEFAカップを手にした。
 さらに中村俊輔も、スコットランドの二大クラブのひとつ、セルティックで思うぞんぶん感嘆を引き出した。
やはりパワーよりファンタジーを売るなら、強いチームで周りを輝かせて、自分も輝くのが鉄則だ。
 小野がエンジェルパスを提供した相手は、若き日のロビン・ファン・ペルシやデンマーク代表のエース、
ヨン=ダール・トマソンたちだった。逆にボーフムやエスパニョールに移籍してからの小野や中村俊を見ても、
中堅以下のクラブで輝くのが難しいことが良くわかる。

 その点で柿谷は鉄則どおりの移籍をした。スイスでバーゼルは群を抜く存在で、チャンピオンズ・リーグへの
出場もほぼ確約されている。そんなバーゼルでも、柿谷のスキルはチームメイトを驚かせるレベルにあったという。
ところが、“鉄板”は外れた。
 パウロ・ソウザ前監督の信頼を得られず、ウルス・フィッシャーへの監督交代に望みを託して残留した柿谷だが、
今のところ序列は変わらない。小野や中村と違いがあるとすれば、それは柿谷がパスの受け手として最前線でプレーしている点だ。
 レジェンドのふたりは強豪クラブでボールを引き寄せ、プレー機会が増えるメリットを享受したが、
柿谷の場合は攻撃の機会が多くても、相手ゴール前の人口密度が障害になってしまっているのかもしれない。

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