1:YG防衛軍 ★@\(^o^)/:2016/07/04(月) 18:43:31.80 ID:CAP_USER9.net
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ハイリスク、ハイリターンの船出となる。

それが宇佐美貴史のアウクスブルクへの移籍である。すでにメディカルチェックを済ませ、契約も正式に交わすまでに至っている。

かつて細貝萌も所属したアウクスブルクは、2011-12シーズンにはじめて1部に昇格すると、着実に力をつけてきた。一度も2部に降格せず、昨シーズンはクラブ史上はじめてヨーロッパリーグ(EL)に出場した(グループリーグを突破したELとリーグ戦の両立に苦しみ、昨シーズンは残留争いにも巻き込まれたが)。

しかし、クラブを初めてELに導いたバインツィアル監督が、昨シーズン終了後にシャルケに引き抜かれてしまった。

代わりにやってきたのが、シュスター監督だ。彼の手腕に目を向けると、宇佐美がこれから直面する状況のヒントを探ることができる。監督は過去5シーズンで3度の昇格経験者。

シュスターは、2011-12シーズンにシュツットガルト・キッカーズを4部から3部に昇格させて名をあげると、2012-13シーズンの途中にダルムシュタットの監督に就任。ダルムシュタットでは、2013-14シーズンに3部から2部への昇格を決め、その翌シーズンに1部に昇格。2年連続で上のカテゴリーに進む快挙をなしとげた。過去5シーズンで実に、3度も昇格を経験した。

昨シーズンのダルムシュタットで、クラブとしては34シーズンぶり、監督としては初めて1部での戦いをスタートさせたとき、1年での降格が濃厚とみられていた。しかし、14位につけ1部残留に導いた。自陣に引きこもり、ファウルも厭わずに勝つ。

昨季、彼がダルムシュタットで作り上げたチームの特長は実にわかりやすかった。彼らの特徴的なデータを以下に紹介する。

・平均ボール支配率 36.8% リーグ最下位(40%を下回ったのはダルムシュタットだけ)
・平均走行距離 111.6キロ リーグ最下位

チームの走行距離が短いのは自陣に引きこもり、前に出て行くシーンと選手が限られているから。そういう戦いをするから、支配率も下がる。

ちなみに、各選手のイエローカードの合計は86枚で、リーグで2番目に多かった。昨シーズン、ダルムシュタットと対戦した際にマインツの武藤嘉紀はこう話していた。

「『とにかく相手は挑発してくる。何回も削られるだろうし、ボールと関係のないところでやられると思うけど、それで苛立つな』と監督から試合前に言われていた。ドイツでやってきて、今までで一番あくどかったというか……」

ラフプレーも含めて、自陣でのハードな守備を武器にして勝ち点を稼いだチームなのだ。

ロングボールとセットプレーで点を取る。

攻撃面でのデータも特徴的だ。

 ・総ゴール数……38ゴール 18チーム中14位
・セットプレー(PKはのぞく。以下同じ)からのゴール数……17ゴール リーグトップ
・総ゴールのうちセットプレーが占める割合……45% リーグトップ
・シーズンのCK獲得数……119本 リーグ最下位
・ビッグチャンスの数……147回 18チーム中17位(キッカー誌の集計)

攻撃で相手を崩すようなシーンはほとんどなく、4-4-1-1の布陣で最前線に置かれた屈強なセンターフォワードのバグナーめがけたロングボールとカウンター。それらが流れのなかの攻撃の主なパターンだった。そして、数少ないセットプレーからゴールを狙うことに最大の情熱と力を注いでいた。

昨季のブンデスリーガで最も戦力に乏しいチームとしての戦いを徹底したからこそ、周囲の評価を覆し、1部に残留出来たわけだ。
宇佐美の技術が活きるサッカーになる展望は?

宇佐美のテクニックとドリブルを活かせるようなサッカーとは正反対の、弱者の戦い。それが、シュスター監督がはじめてブンデスリーガ1部に臨んだシーズンで採用し、成果をおさめた戦術だ。

もちろん、アウクスブルクの選手層はダルムシュタットに比べれば厚い。選手の質も上だ。そしてアウクスブルクの選手たちには、バインツィアル監督のもとで築き上げたサイドからの攻撃がある。

「これからはボールを多く使った練習を取り入れていく」とシュスター監督は語り、ダルムシュタット時代とは違うサッカーへの色気も見せる。

ただシュスターが、自身にとって唯一の成功体験である弱者のサッカーをアウクスブルクで採用しても、何ら不思議ではない。むしろロジカルな選択だとさえいえる。

シュスター監督の得意とするサッカーの特徴を考えると、宇佐美の特長が活かされるかについては疑問が残る。彼とて、ドイツに守備力を磨きにきたわけではないだろう。

この移籍はミスマッチではないか。そう言われても不思議ではない。事実、今回の移籍は成功が確約された類のものではない。
 
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