1: YG防衛軍 ★@\(^o^)/ 2015/10/21(水) 16:26:59.63 ID:???*.net
 
【北條聡のフットペディア】

 まずは知っておきたいサッカー用語の一つが「ボランチ」だろうか。よくある外来語だが、英語ではない。
ポルトガル語だ。それもブラジル産である。
 日本では、最終ラインの手前に陣取る中盤の選手(MF)を、そう呼ぶようになった。1990年代の半ば、
当時のブラジル代表のキャプテンを務める大物ドゥンガがジュビロ磐田に加入して以来、
ボランチという言葉が全国的に広まった印象が強い。

 直訳は舵(かじ)、車のハンドル、操縦桿(かん)。中盤の深い位置で、攻守にわたり、
チームの針路を指し示すコンパスのような存在と言ってもいい。言わば、チームの心臓だ。
ドゥンガが、まさしくそうだった。

 近年の日本では、日本代表で最多キャップ数を誇る遠藤保仁(ガンバ大阪)がボランチの代表格だ。
パスの長短、高低、緩急をもってチームを縦横に動かす遠藤のプレーぶりは例の「操縦桿」をイメージしやすい。

 ボランチが2人の場合、ダブルボランチと呼ぶあたりが、いかにも日本らしい。厳密には『ドイスボランチ』だが、
それではポルトガル語になじみの薄い日本人には分かりにくい、ということだろう。

 通常、ポジション用語(英語)はセンターバックやサイドハーフのように場所(位置)を表しているが、
役割やコンセプトが紐(ひも)づいたボランチは異例と言っていい。もっとも、似たような例は、他国にもある。

 イタリアでは演出家や映画監督を意味する『レジスタ』という呼び方があり、スペインでは回転軸という
意味の『ピボーテ』という言葉がしばしば使われる。意味合いは、どちらもボランチに近い。

 日本風に言えば「司令塔」だが、日本ではトップ下(攻撃的MF)のポジションを担う選手を、
そう呼ぶケースが少なくない。それぞれの国に根付いた固有のサッカー観が、こうしたところに表れるから面白い。

 日本代表におけるボランチの系譜をたどると、山口素弘、名波浩、遠藤など歴代屈指の「司令塔」がズラリ。
Jリーグでもベテランの中村憲剛(川崎フロンターレ)や円熟期の青山敏弘(サンフレッチェ広島)に加えて、
ポスト遠藤の最右翼と目される柴崎岳(鹿島アントラーズ)がいる。

 いずれは「ボランチ=司令塔」という図式が定着するかもしれない。ボランチの語源を考えても、
その方がしっくりくる。しかし、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督の率いる日本代表に、果たして
「羅針盤」の居場所があるのかどうか。ボランチにタフな「労働者」をペアでそろえる傾向があるからだ。
少なくとも、1人は司令塔を――。日本固有のボランチをめぐる人選から、目が離せない。

(北條聡・サッカーライター/朝日新聞デジタル「&M」)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151021-00010001-asahit-socc

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