1: 2016/05/09(月) 15:10:02.80 ID:CAP_USER9
 前回まで「ポゼッションサッカー」と「カウンターサッカー」について考察してきた。

 2010年のW杯南アフリカ大会前後は、クラブ単位でも国単位でも世界のトレンドは、バルセロナとスペイン代表を頂点とする「ポゼッションサッカー」にあった。しかし、2014年W杯ブラジル大会を機に、世界の潮流は「ポゼッションサッカー」から「カウンターサッカー」へと移行している。

 日本代表もザッケローニ元監督のもとで磨いたポゼッションサッカーから、アギーレ前監督とハリルホジッチ監督のもとで世界的なトレンドである“縦に速い”ショートカウンターへとスタイルが変わりつつある。

 ただ、W杯ブラジル大会以降の日本代表を見ていて、ある疑問が幾度となく頭をもたげることがあった。

それは、「果たして、日本サッカーの伝統となるスタイルを確立できているのだろうか」ということだ。

 Jリーグ創設から24年。W杯の舞台で世界の強豪国と戦うようになってから18年が経つ。この間、日本サッカーはその時々のトレンドを取り入れながら成長を遂げてきた。

だが、同じ速度で世界の強豪国も進化を続けている。「世界のスタンダードだから」「世界のトレンドだから」という理由だけで同じことをしていても、追いつくことはできないのではないか。

 振り返れば2006年にイビツァ・オシム氏が日本代表監督になった頃、日本人の良さを生かしたスタイルがクローズアップされた。それは岡田武史監督、ザッケローニ監督のもとでも継承された。

 岡田監督は日本人選手の「規律正しさ」を全面に打ち出すスタイルであり、ザッケローニ監督は「敏捷性」や「器用さ」を生かすスタイルであった。たしかに、ピッチ上で表現されるサッカーは違うものではあったが、その根底にはオシム時代と同様に“日本らしさ”を最大限に生かそうとする姿勢があったと私は感じている。

「日本人の良さを生かす」。これは何も特別なことではない。ドイツ代表にはドイツの良さがいつの時代にもあり、イタリア代表にはイタリアならではのサッカー観が根底にある。ブラジル然り、アルゼンチン然り。世界でサッカー強豪国と言われる国には、確実にその土壌でしか培われないものがスタイルや伝統として脈々と受け継がれている。

 では、日本人の良さはどこにあるのか? それは、海外リーグで評価されている日本人選手たちが示してくれている。

 たとえば、プレミアリーグ優勝を果たしたレスター所属の岡崎慎司は、その「献身性」と「運動量」で、インテルのSBで活躍する長友佑都は、90分間動き続ける「スタミナ」や「俊敏性」が評価されている。またブンデスリーガでは、「規律正しい汗かき役」の長谷部誠や、「高い技術」を生かして前線で得点に絡む香川真司がいる。

日本スタイルを考えるためには、そうした日本人選手の特徴を理解することが前提になる。つまり、サッカーにおける日本人選手の長所は、「規律正しさ」「技術の習得に熱心」「忍耐力」「アジリティ(俊敏性)」などだ。

 ただし、これらは背中合わせで短所にもなる。規律正しさは、言われたことを忠実に守るだけで臨機応変さを欠くことになりかねないし、技術習得の熱心さは、テクニックが目的になって、ゴールを奪う勝負感覚が欠けてしまうデメリットにつながる。それも踏まえて、日本人選手の良さを発揮できるように考えるべきだろう。

 高さやパワーなど、日本人の弱点や欠点、足りない部分をあげればキリはない。当然、それを強化することも必要なのだが、それ以上に、持っている長所が全面に出るスタイルを模索することがさらに重要になる。

 こうした点を考慮して、日本代表が目指すべきスタイルとして、ペトロビッチ監督が浦和で志向しているポゼッションサッカーは、日本らしいスタイルを構築するにあたり、礎(いしずえ)になる可能性があると私は思っている。

2以降につづく

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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160509-00010003-sportiva-socc&p=1
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