1: Egg ★ 2019/03/14(木) 13:43:46.62
【代表欧州組 直撃行脚】

昌子源(フランス1部 トゥールーズDF)第2回

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先発組最年少で唯一の国内組ながら、ロシアW杯ではベルギー戦前日公式会見に出席を要請されるほど、昌子源のコミュニケーション能力の高さは定評がある。その彼もフランス語には大苦戦している。DFにとって意思疎通は生命線だが、3日のリヨン戦で大量5失点した通り、守備が崩れてもカバリングの指示さえままならない。そこが異国でプレーする難しさだと本人も痛感しているという。

「左・右って『アゴーシュ・エタドロワット』って言うんですけど、試合中に逆になったり、何回も間違えましたね(苦笑い)。今は前・後・左・右は大丈夫かな。あとは細かいことですよね」と昌子は頭をかいた。

イブラヒムという名前の選手の発音がうまくできなかったり、ボールを出す時に「後ろに来てるぞ」という意味で「サビアン」という表現を覚えたり、足を伸ばしながら交互に動かすウオーミングアップ(の格好)がハサミに似ていることから「シゾー」と名づけられていることを知るなど、毎日が学習の連続だ。

「『サビアン』もホントは『来てるぞ』って意味ではないらしいんです。鹿島の時もポルトガル人選手に同じことを伝えるのに『ラドロン』と言っていたんですけど、それも『泥棒』って意味だと(笑い)。ボールを盗むってことですかね。語彙が変化したんでしょう」と昌子は話す。やはり鹿島時代に外国人選手とプレーした経験は新天地でも役立っているのだ。

だが、ピッチ上での守備は鹿島時代のようにはいかない。リヨン戦でFWデンベレに振り切られた場面でも「スライディングに行っていたら、ボールを奪えたかも知れない」と彼は悔やむ。

「日本ではスライディングは最終手段だと考えていたし、(大岩)剛さん(鹿島監督・元日本代表DF)にもそう言われていた。でもこっちでは五分五分の状況でも、それがファーストチョイスなんですよ。日本でスライディングして抜かれたら『あいつは軽い』となるけど、欧州では『相手がうまい』と捉えられる。確かに(レアル・マドリードDFの)セルヒオ・ラモスや(バルセロナDFの)ピケも、結構スライディングしているイメージがある。相手が正面を向いた時に平気でスライディングに行ける技術が高いってことだと思います」

こうした異文化の中で目立ったミスを犯せば、メディアやサポーターにも酷評される。実際リヨン戦後には地元紙に「最悪のパフォーマンス。限界が示された」とまで書かれた。それでも昌子は「一番大事なのは自信を失わないこと」と自分自身に言い聞かせている。

「日本に比べて、試合ごとにコロコロと評価が変わるのが欧州かなと(笑い)。プレーがアカンかったら酷評されることはサッカー選手にはよくあること。周りに何を言われようが、自分を信じてやるしかない」と語気を強めた。

その負けん気の強さが彼をここまで飛躍させてきた。フランス語が分からなくても、体当たりでぶつかっていくタフさとたくましさ。それが昌子源の強みなのである。=つづく

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

3/14(木) 9:26配信
2019-03-14_15h10_16
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190314-00000008-nkgendai-socc

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