1: YG防衛軍 ★@\(^o^)/ 2016/01/28(木) 19:13:26.15 ID:CAP_USER*.net
 格上との試合では、守りを固めるのが戦いの定石の一つだろう。しかし、それが“城にこもる”だけでは、防御を破られるのは時間の問題となる。守備は必ず疲弊するからだ。

サッカーにおいて守り勝つには、攻めてゴールを奪う“装置”を準備しなければならない。
そもそもの話、サッカーは「多くゴールをしたチームが勝ち」というスポーツである。この鉄則を忘れてはならない。
昨年12月12日のリーガ・エスパニョーラ15節、バルセロナの本拠地カンプ・ノウに乗り込んだデポルティボは、二度に渡って追い付き、2-2で引き分けている。これは一つの快挙と言えるだろう。実力差を考えれば5-0のような大敗を喫しても不思議ではない。
デポルティボの指揮官ビクトール・サンチェスは、その8日後にクラブワールドカップで世界王者に輝く
バルサとの一戦で、普段使っている4-2-3-1や4-4-2ではなく、イタリア色の強い戦術システムを採用。
4-3-1-2(2015年シーズンにはFC東京のマッシモ・フィッカデンティ監督もしばしば採用)という布陣で、
4DF+3MFの2ラインで守備ブロックを作り、ひたすらバルサの攻撃を受け止めたのだ。
しかし、最終ラインと中盤がそのリアクション運動を続ける中、トップ下と2トップの3人はなるべく前線に
留まってカウンターを狙った(トップ下はアンカーを蓋、2トップは敵最終ラインのビルドアップをできるだけ塞ぐ守備タスクはあった)。この“籠城出撃戦”によって2-2のタイスコアに持ち込み、バルサに一泡吹かせた。
4-4-1-1あるいは5-4-1のフォーメーションのほうが守備ブロックは厚みを増し、ディフェンスの強度は高まる。
しかし、前線の人数が1枚や2枚など手薄だとカウンター攻撃に繋がりにくい。結局は敵に押し込まれ続けて消耗し、失点を待つのみとなる。
つまり、この日のデポルティボが採った戦術は、カウンターを発動できる最低限の攻撃態勢を整えることで敵の勢いも減速させる、攻守一体の戦略だったと言えるだろう。

現代フットボールの要塞戦術において、守るという行為で重視されてきたのは、重厚性よりも流動性である。
虚を突いて出撃し、敵を脅かす。俊敏な運動が相手を苦しめる。常に遊撃できるような部隊、その部隊と連動できる拠点によって、ようやく守りも優位に動かせる。遊撃部隊は敵の拠点を一気に衝くのが使命で、戦理を心得、戦機を洞察し、勇気を持って懐に飛び込めるか。ここは攻撃性能を求めるべきだろう。
アタッカーに強く防御を求めるのは、「失点を減らしたい」という指揮官の怯みにすぎず、それは敵よりも味方に損傷を与える。
翻って、日本は世界でトップ50前後のサッカー国である。すなわち、強国との試合では、守ることを念頭に考えざるをえない。しかし、守りきる、という考え方は捨てるべきだろう。守りながらも攻撃装置を持てるか――。
2010年の南アフリカ・ワールドカップで岡田武史監督が用いた戦術布陣は4-1-2-3で、3トップ以外の7人は専守防衛に近く、コンセプトとしてはバルサ戦のデポルティボのそれに近かった。
松井大輔、大久保嘉人、本田圭佑の3トップは守備の負担を担いつつ、遊撃性も託されていた。
強力な3人のアタッカーが敵の喉元で刃になり、“やられっぱなし”にはならなかったのだ。

「サッカーとしては面白いことはなにもなかったよ」

大久保が後述しているように、それは勝つための手段だった。フットボールの原点であるボールゲームを放棄し、パスを繋げながらテンポを作り、攻守を組み立てるという考え方はない。守るために攻め、攻めるために守る、
という勝利だけを目指す戦闘部隊に近いだろう。
しかし実は、日本人はその割り切った戦い方を得意としていない。むしろ攻め抜く戦いに、自分たちのアイデンティティーを求める。2013年のコンフェデレーションズ・カップで、イタリアと撃ち合って3-4で負けた一戦に“美しさ”を感じたように、だ。イタリア人のようにふてぶてしく守りながら、とはいえ気持ちまでは守りに入らず、逆襲で勝ちをつかみ取るという、アンビバレントな戦いには向かない。
岡田監督がマゾヒスティックな戦術を成功させたのも、本大会直前の土壇場で、ワールドカップを勝ち抜くために切り替えざるをえなかったからだろう。
「縦に速く」を唱えるヴァイッド・ハリルホジッチ監督の戦略構想は珍しいことではない。その言説は正論だろう。
ただ、「4年間も割り切った戦いを見せられる」と想像すると、人々は幻滅を覚える。そこに、指揮官の仕事の難しさはある。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160128-00010007-sdigestw-socc&p=2

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