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1: 2018/08/31(金) 10:12:38.95 ID:CAP_USER9
四半世紀を迎えたJリーグの歴史で初めてとなる光景が生まれた。横浜F・マリノスへ電撃的に加入したFW久保建英が、17歳2ヵ月22日と史上2番目の年少ゴール記録を樹立した26日の明治安田生命J1リーグ第24節で、対戦相手のヴィッセル神戸が6人の外国籍選手を同時に起用したのだ。ベンチ入りできる外国籍選手の上限が3人と定められている中で、プレーする選手の過半数を外国籍選手が占める、前例のないケースはなぜ生まれたのか。Jリーグ内で議論されて久しい外国籍選手枠の撤廃を踏まえながら、FCバルセロナとスペイン代表で一時代を築いたビッグネーム、アンドレス・イニエスタが加入して注目を集めるヴィッセルの現状を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

● ヴィッセル神戸が外国籍の選手を 同時に6人起用できた「カラクリ」とは?

 21世紀生まれの唯一のJリーガーが眩い輝きを放ったノエビアスタジアム神戸のピッチで、四半世紀を迎えたJリーグの歴史上で初めてとなる光景も生まれていた。

 FC東京から横浜F・マリノスへ電撃的に期限付き移籍したばかりのFW久保建英が、出場7試合目にしてJ1初先発を果たした26日の明治安田生命J1リーグ第24節。スペインの名門、FCバルセロナもその才能に惚れ込んだ逸材は後半11分、鮮やかなJ1初ゴールを決めて先制した。

 この瞬間、対峙していたヴィッセル神戸の選手たちのうち、実に6人が外国籍選手だった。プレーしている11人の過半数を外国籍選手が占めるチームは、もちろんこれまで前例がない。例えば対戦していたマリノスの外国籍選手は、久保がゴールを決めた時点では2人だった。

 Jリーグが定める外国籍選手の登録数は、試合でベンチ入りできる上限は3人となっている。共通のルールがある中で、ヴィッセルが倍となる外国籍選手を起用できたのはなぜなのか。謎を解いていく前に、同時にプレーした6人の外国籍選手の顔ぶれをまずは見てみたい。

 ヴィッセルはマリノス戦で5人の外国籍選手を先発させている。GKに韓国代表のキム・スンギュ、センターバックにカタール代表のアフメド・ヤセル、インサイドハーフに元スペイン代表の至宝アンドレス・イニエスタ、右ウイングにキャプテンで元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキ、そしてセンターフォワードにチーム得点王のブラジル人、ウェリントンが名前を連ねた。

 そして、後半開始と同時に左サイドバックの橋本和に代わって、タイ代表のティーラトンが投入された瞬間に歴史が変わった。FW長沢駿との交代でウェリントンがベンチへ下がるまでの約25分間、スタジアム内に2つある電光掲示板上ではカタカナが漢字を上回っていた。

8/30(木) 6:00配信 ダイヤモンド
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180830-00178536-diamond-soci
Jリーグの規約・規定集「明治安田生命J1・J2・J3リーグ試合実施要項」は、第14条の「外国籍選手」で登録枠数に関して次のように定めている。

 【1】 試合にエントリー(ベンチ入り)することができる外国籍選手は、1チーム3名以内とする。ただし、アジアサッカー連盟(AFC)加盟国の国籍を有する選手については、1名に限り追加でエントリーすることができる。
【2】登録することができる外国籍選手は、1チーム5名以内とする。
【3】 Jリーグが別途「Jリーグ提携国」として定める国の国籍を有する選手は、前2項との関係においては外国籍選手ではないものとみなす。

 この規約とマリノス戦におけるヴィッセルの外国籍選手起用を照らし合わせていくと、まずは【1】で定められた「3人以内」としてポドルスキ、ウェリントン、そして出場6試合ですでに2ゴールをあげるなど、期待にたがわない大活躍ぶりを見せているイニエスタが該当する。

 さらにAFC加盟国の国籍を有し、1人に限って追加でエントリーできる選手として、先のワールドカップ・ロシア大会の韓国代表メンバーに名前を連ね、9月に行われる国際親善試合にも招集された187センチ、84キロの大型守護神キム・スンギュが加わる。

 そして、ここで注目されるのが、【3】で定められた「Jリーグ提携国」となってくる。今シーズン、Jリーグはタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタールの8ヵ国を提携国として定めている。

 これらの国々の国籍を有する選手は、実質的に日本人選手扱いとなる。しかも、保有できる選手数に上限は設けられていない。ヴィッセルではカタール代表のヤセル、そしてタイ代表のティーラトンが【3】に該当するため、6人全員のベンチ入り及び同時起用が可能になったわけだ。

 ヴィッセルは今シーズンの開幕から、6人の外国籍選手を擁する体制で戦ってきた。昨シーズンから在籍するキム・スンギュとポドルスキ、クラブ史上初の得点王を2016シーズンに獲得したFWレアンドロの3人に、ティーラトンが期限付き移籍で、ウェリントンと韓国代表MFチョン・ウヨンが完全移籍でそれぞれ加わった。

 ホームに浦和レッズを迎えた4月11日の明治安田生命J1リーグ第7節ではキム・スンギュ、チョン・ウヨン、ポドルスキ、ウェリントンの4人が先発フル出場。ティーラトンが投入された後半35分以降は、5人の外国籍選手がピッチ上で同時にプレーしている。

 この時点で【2】で上限が5人と定められた外国籍選手の登録枠はキム・スンギュ、ポドルスキ、レアンドロ、チョン・ウヨン、ウェリントンですべて埋まっていた。そこへ5月下旬に、FCバルセロナとスペイン代表で一時代を築いた稀代のプレーメイカー、イニエスタの加入が発表される。
ヴィッセルとしては登録枠を空ける必要があり、2度に及ぶ左ひざ前十字じん帯損傷で昨シーズンを棒に振ったレアンドロが7月にJ2の東京ヴェルディへ完全移籍。3年ぶりに復帰したチョン・ウヨンも、カタールの強豪アル・サッドから届いたオファーを受けて新天地へ旅立った。

 そこへ8月になってヤセルが期限付き移籍で加わった。同11日のジュビロ磐田との明治安田生命J1リーグ第21節からは6人全員がベンチ入り。迎えたマリノス戦で歴史が変わった中で、ヴィッセルの姿はJリーグ全体のごく近い将来と重複すると言っていいかもしれない。

● 「外国籍選手枠の撤廃」によって 日本人選手がより成長できる可能性も

 偶然にもJリーグ内では、外国籍選手枠の撤廃が検討され始めている。唐突なように映るかもしれないが、実はJリーグ内では幾度となく議論の俎上に載せられては、時期尚早という理由で見送られてきた長年の懸案事項でもあった。

 実際、2016年秋にはJクラブの代表取締役で構成される実行委員会の席上で、実質的な外国人枠撤廃となるこんな素案が提示されている。

 「日本人選手を15人以上保有していれば、それ以外のすべての選手が外国籍選手でもいい」

 この時は議論百出の末、試合実施要項の第14条が前出のように改定された経緯がある。実は外国籍選手枠の拡大・緩和や撤廃が議論されるたびに、日本人選手の出場機会が減少して、ひいては日本代表を担えるような選手が育たないのでは、という懸念がクローズアップされてきた。

 しかし、日本サッカー界が長くお手本としてきたドイツのブンデスリーガは、2006-07シーズンから外国籍選手枠を撤廃。結果として長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)や香川真司(ボルシア・ドルトムント)ら、数多くの日本人選手がプレーできる土壌を生み出してきた。

 だからと言ってドイツ代表が弱体化したかと言えば、答えは明白にノーとなる。ロシア大会こそグループリーグ敗退を喫したものの、ドイツ代表は前回ブラジル大会では24年ぶり4度目の頂点に立ち、南米大陸開催のワールドカップで初めて優勝したヨーロッパのチームとなった。

 外国籍選手枠の撤廃と同時に、ブンデスリーガは「ドイツ人枠」を導入している。各クラブは最低でも12人のドイツ国籍をもつ選手を登録し、そのうち8人はドイツ国内のアカデミー出身、さらに8人のうち4人は当該クラブのアカデミー出身でなければならないと今現在では定められている。
 3度目のワールドカップ出場となった、ロシア大会をもって日本代表からの引退を示唆。現在はオーストラリアの強豪メルボルン・ビクトリーFCで現役を続けながら、カンボジア代表の実質的な監督にも就任した本田圭佑もかつて、Jリーグの外国籍選手枠の拡大を訴えたことがある。

 「外国籍選手枠を5ないし6に広げることが、Jリーグのレベルアップにつながると個人的には思っている。日本人選手が出られなくなると言われるかもしれないが、厳しい環境の中で競わないといけない。その中で生き残った選手たちで構成される日本代表は、絶対に強くなるので」

 ならば、図らずも外国籍枠が拡大あるいは撤廃された場合のモデルケースとなった、8月以降のヴィッセルが描いた軌跡はどうなのか。11日のジュビロ戦で今夏にJ2のFC岐阜から加入した23歳のFW古橋亨梧が、19日の湘南ベルマーレ戦では青森山田高卒のルーキー、19歳の郷家友太と期待の若手選手たちがそれぞれJ1初ゴールを決めている。

 「イニエスタ選手からは紅白戦の時に『もっと君のよさを出していいよ』と言われていました。僕のよさは前へ出て行くことだと再認識して、ポジティブな気持ちで試合に臨めました」

 中央大学から加入した岐阜で結果を出してヴィッセルに見初められた古橋が、新天地での2戦目にして出した結果に笑顔を見せる。U‐19日本代表にも選出されている東京オリンピック世代のホープ、郷家は相手ゴール前へ猛然とダッシュし、ポドルスキが放ったシュートのこぼれ球を押し込んだ泥臭いゴールに、自身の中で生じている変化を感じずにはいられなかった。

 「前半戦の自分なら、もしかしたらあそこまで詰めていないかもしれない。その意味では、後半戦は上手く気持ちを切り替えられているのかなと思います」

 古橋も郷家も、ともにワールドカップを制した経験を持つ2人のビッグネーム、イニエスタとポドルスキが魅せる存在感に触発され、急成長を遂げていると言っていい。外国籍選手がチームに与える個の能力の高さと、日本人選手全体に共通する勤勉さが融合しつつある現状に、昨シーズン途中からヴィッセルを率いる吉田孝行監督も手応えを感じつつある。

 「チーム内でいい競争ができている。自分たちのスタイルに合った選手を獲得したので、(新加入組は)スムーズにチームへ入っていけていると思っています」

 6人の外国籍選手を同時起用している間に17歳の久保にゴールされたマリノス戦は、最終的に0‐2の完敗を喫した。順位こそ5位に後退したが、目標のひとつとして掲げている、来シーズンのACL出場権を獲得できる3位のFC東京との勝ち点差は5ポイントと射程距離にある。

 今シーズンも残りは10試合。ルールの範囲内で他チームと一線を画す陣容を整えたヴィッセルが今後の戦いで刻む軌跡が、結果だけでなく日本人選手の活躍ぶりを反映した試合内容を含めて、Jリーグ内で継続される外国籍選手枠撤廃に関する議論にも大きな影響を与えてくる。

藤江直人


引用元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/mnewsplus/1535677958

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