1: Egg ★@\(^o^)/ 2016/01/13(水) 09:02:53.12 ID:CAP_USER*.net
 オーナーの信頼を十分に得て、根本はフロントと現場双方のトップに立った。そのはずなのに、のっけからオーナーの要求に応えようとしていない……。なにも言葉を返せなくなった瀬戸山にかまうことなく、根本は持論を展開し始めた。

「でなあ、そんなことよりまず考えんといかんのは、野球界をいかにさらに発展させるかだ。お前、来年、Jリーグができるの知っとるだろ? このままで行くと間違いなく、野球はサッカーに負ける。もう世の中、世界中がそういう流れになっている。これを巻き返すためには、ON対決しかないんだよ」

 この年の10月、巨人では長嶋茂雄が監督に復帰していた。12年間の“浪人時代”を経た国民的スターの復帰自体、翌93年5月に発足するJリーグへの対策という意味合いもあったといわれる。根本はその先を見越してダイエー監督に王貞治を招聘し、いずれ長嶋巨人と日本シリーズで対決させることで、低迷するプロ野球人気が再興すると考えていた。ただ、瀬戸山にすれば、その考えに納得する以前に、やはり驚きを感じずにいられなかった。

「根本さんご自身、ダイエーでまだなにも動かれていない時です。なのにもうポンと王さんの名前が出て、『長嶋が巨人の監督をしとる間に、ここにワンちゃんを連れてこんといかんのだよ』とおっしゃるんですから。そこで私が、『これから監督をされるのに、なんてことですか?』と言ったら、『いや、オレは基礎を作る。しかしオレが監督の間は絶対に勝たんからな』とおっしゃる。『いやいや、一応、勝ちましょうよ』と言っても、『いや、勝つのは基礎を作ってからだよ。それでワンちゃんを呼ぶ』と。しかも、『いずれ近々、ワンちゃんを紹介するから、お前が口説くんだよ』って言われて、『え~? 私がですか?』としか言えなかったですよ」

 サッカーに負けそうな野球が巻き返すための王監督、そしてON対決。しかし根本にすれば、本来、野球界の発展などはコミッショナーが考えるべきものであって、なぜ一球団の自分が考えないといけないのか、という思いもあった。逆に言えば、野球界のトップであるコミッショナーは、部下から上がってきたいくつかの企画から最良のものを選択することはできても、自分でどうするか、考えられない。

 自分でどうするか、考えろ――これは瀬戸山自身、最初に根本に言われたことだった。

webスポルティーバ 1月12日(火)18時55分配信
⇒【根本陸夫伝】自ら監督を務めるチームよりも球界のJリーグ対策を先に考えた男(Sportiva)

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◆小ネタ◆その昔NHK-BSでレイモンド・マンコ特集をやってた頃