1: YG防衛軍 ★@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 20:32:59.76 ID:CAP_USER*.net

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防御大国のイタリアが生んだ英雄だ。ポジションはセンターバック。最終ラインに陣取り、
敵の攻撃を食い止める仕事は、この男の天職だったか。

センターバックは因果な稼業だ。迎え撃つ相手は「これ」という武器ひとつでゴールを狙う、
その筋の専門家ばかり。天空を突くような巨人、疾風のような韋駄天(いだてん)、神出鬼没のゲリラ戦の名手、
蝶(チョウ)のように舞い、蜂のように刺すファンタジスタなど、多士済々の刺客を向こうに回し、守り抜く必要がある。

 彼の偉大さは、どんな相手とも互角以上の勝負をやってのけたことだ。身長176センチ。
センターバックとしては小柄だが、そのハンディを補って余りある破格の運動能力と緻密(ちみつ)な
駆け引きを用いて、2メートルに迫る巨人にも屈しなかった。

 相手が強ければ強いなりに、速ければ速いなりに、巧(うま)ければ巧いなりに、懐から最善のレシピを
取り出して、敵を危険地帯の外へと締め出した。そのハイライトが、イタリアを史上四度目の
世界制覇へと導いた2006年のドイツ・ワールドカップだ。

 ファイナルを含む7試合でイタリアが喫した失点はわずか1。列強の猛者をことごとく封じ込めたカンナバロは、
その立役者となった。そして、同年のFIFAバロンドール(世界年間最優秀選手賞)に選ばれる。
ディフェンダーの受賞者は史上3人目。異形の人の、偉業だった。

 カンナバロとほぼ同世代のイタリア人にアレッサンドロ・ネスタという卓越したセンターバックがいた。
イタリアのある専門家によれば、2人には「決定的な違いがある」という。それが、1対1の強さだ。

「ネスタはマンマーキングの面でやや劣る。逆にカンナバロは対人戦に滅法(めっぽう)強かった。
最終的には1対1の争いで勝てるかどうか。そこがモノを言うのだ」

 守ってナンボというイタリア・サッカーのDNA(遺伝子)が、カンナバロの一挙手一投足に脈打っていた。
相手が誰だろうが、一歩も退かない「天敵知らず」の異才は、すでに十代の頃から見て取れた。

 ナポリ在籍のユース時代、初めて参加したトップの紅白戦で巨星ディエゴ・マラドーナに遠慮のない
ファイトを仕掛け、周囲を凍りつかせた。しかし、次の瞬間、マラドーナはファビオ少年にこう告げたという。

「いいぞ、小僧。その心意気だ!」

 偉大なディフェンダーの神話は、この日、この瞬間から始まったのかもしれない。守るとは何か、
ディフェンダーとは何か。カンナバロこそ、その答えではないか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160110-00010002-asahit-socc

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