サッカー_02

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1: 2018/07/10(火) 16:41:54.10 ID:CAP_USER9
「このW杯で最高のサプライスは、まぎれもなく日本だ!」

 メキシコ・アステカTVの名物アナウンサーは、日本対ベルギー戦の中継でそう興奮気味に叫んでいた。

「実をいうと大会前は、そのポジションはアイスランドのものだと思っていたんだ。人口30万人ちょっとの国がW杯に出場するなんて、まさにシンデレラストーリーだからね。きっと何か奇跡を起こしてくれると思っていた。しかしふたを開けてみると、アイスランドは期待したほど魅力的なサッカーを見せてくれなかった。その代わりに、世界を楽しませてくれたのが日本だ」

 アナウンサーはそう続けた。

 相手は10人であったとはいえ、初戦のコロンビアに勝利し、グループリーグを突破。なにより後にブラジルの夢も打ち砕いた黄金世代のベルギーを、一度は2点までリードした日本。その戦いぶりは世界中にポジティブなインパクトを与えた。その証拠に、これまでのW杯とは比べようもないほど、多くの人々やメディアが日本についてコメントしている。誰もが日本を語らずにはいられなかったのだ。

 それは日本と対戦し、そのプレーを肌で知った選手も同じだ。

 セネガルのエース、サディオ・マネはロシアから帰国してバカンスを過ごしているなか、地元新聞にこう語った。

「大会前、我々は日本ぐらいには勝てるだろうと話していた。しかし現実には、我々は国に帰り、日本はロシアに残った。我々がグループリーグ敗退にふさわしいチームとは思わないが、日本は勝ち進むにふさわしいチームではあった」

 ポーランドのストライカー、ロベルト・レバンドフスキもまた、地元メディアで日本戦をこう振り返っている。

「日本に勝つのはとてもハードだった。日本のGKはいろいろ言われているが、あの試合ではスターだった。彼が防いだシュートは誰もが止められるものではなかったよ」

 レバンドフスキは、日本の最大の武器は”個”ではなく「組織力のすごさだ」とも言っている。

「前半が終わったとき、日本が『一定の選手だけをマークしておけば大丈夫』というチームではないことがわかった。日本にエースの選手はいないが、同時にチーム全員がエースでもあった。だから、彼らを止めるのは本当に大変だった。

 大会前の作戦では、我々は日本相手に確実に3ポイントを挙げる予定だった。直前に監督が交代したし、いろいろ問題を抱えていると思ったからだ。予定どおり、我々は日本相手に勝ち点3を挙げた。しかし我々は日本より先に家に帰らなければならなかった。もう日本は弱小チームでも、サッカー後進国でもない。世界のトップ20、30入りするチームだろう。1998年からずっとW杯に出場し続けている力は伊達ではない。もはや、当たってうれしいチームではないんだ」

 グループリーグのライバルたちは、その後の日本対ベルギー戦での日本にも驚いたようだ。レバンドフスキは言う。

「ベルギーは今世界の3本の指に入るほどのいいチームだが、日本はそのチーム相手に30分近く完全にゲームを支配していた。その間ベルギーはなす術(すべ)がなかった」

 ベルギー戦での活躍は、初戦で日本相手に黒星を喫したコロンビアにとって、多少の慰めにもなったようだ。コロンビアのホセ・ペケルマン監督は少し自嘲気味に言う。

「少なくとも我々は、弱小チームに負けたのではなかったわけだ。10人になったというのもあったが、日本のオフェンスは本当に強かった」

7/10(火) 9:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180710-00010004-sportiva-socc
かつてW杯の舞台で活躍したレジェンドたちからの賞賛の声も、次々に聞こえてくる。日本対ベルギー戦を、私はBBCラジオの中継のため、元イングランド代表のテリー・ブッチャーと一緒に観戦していたが、彼は放送中、何度もこうつぶやいていた。

「なんてこった。日本はベルギーを食っちまった」

 ブッチャーはこの試合、ベルギーに期待していたという。逸材ぞろいのベルギーのプレーを存分に堪能するつもりだった。しかし試合が進むにつれ、彼の考えは完全に変わってしまった。いや、たぶん彼だけではないだろう。西野ジャパンは世界中の人が持つ日本サッカーのイメージをまったく変えてしまった。ブッチャーは試合を振り返って言う。

「ベルギーに期待していたファインプレーを見せてくれたのは、日本のほうだった。日本はもう、今までの日本とは違う。パスワークはすばらしく、日本がこのプレーを続けるならベルギーに勝ち目はないとさえ思った。とくに日本の2ゴール目は普通のゴールじゃなかった。サッカーを知りぬいている者だけができるゴールだ。ベルギーの選手は完全に置き去りにされていた。本当にすばらしい」

 一方、ブラジルのレジェンド、ロベルト・カルロスは、日本の活躍は何も不思議ではなかったとコメントしている。

「多くの日本人選手がヨーロッパのビッグチームでプレーしている。あとは代表チームでその力を見せるだけだ。ベルギーとの試合は、絶対PK戦にまでもつれ込み、最後には日本が勝利すると思っていた。ファンタスティックという言葉がふさわしいチームだっただけに、敗退は残念だった」

 日本のサッカーに驚くとともに、多くの人が共通して抱いた感情が、日本の敗退を惜しむ気持ちだ。試合直後のインタビューで西野朗監督は「何が足りなかったのか……」と語ったというが、同じ疑問を持った人は世界にもいる。ロベルト・カルロスは続ける。

「後半、監督がもっとプレーに介入すべきだったと僕は思う。選手を落ち着かせ、ピッチの外から、今、何をすべきか知らせるべきだった。しかし、日本はそのタイミングを逃してしまった」

 元スペイン代表の守護神、イケル・カシージャスも日本の敗退を惜しんだひとりだ。

「日本は、そのサッカー史上最大のチャンスを逃してしまった。人、時、コンディション、勝てるためのすべての要素を、今回の日本は持っていたのに、それをうまく利用することができなかった。4年後も同じ条件が揃うかどうかはわからないだけに、今回チャンスを生かせなかったことは残念だ」

 そして日本の敗因をこう分析する。

「思うに、日本は恐怖心に負けてしまったのではないか。つまり、ベルギーにではなく自分たち自身に負けた。この弱点は今回、世界中に知れ渡ってしまい、次の対戦相手は必ずそこをついてくるだろう」

 日本の敗退を多くの海外メディアは「ハラキリ」と表現した。つまり、自滅してしまったということだ。やはり敗因は相手ではなく、日本のプレーのあり方にあったと見ているのだろう。

 日本は重要な場面で狡猾さや、いい意味での策を弄すことができなかった。正攻法の戦いは美しいが、それだけではW杯で勝つことはできない。もっとしたたかに。それがベスト8の壁を超える秘訣だろう。

リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳

引用元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/mnewsplus/1531208514

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