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1: 2018/04/08(日) 08:40:04.34 ID:CAP_USER9
【福田正博 フォーメーション進化論】

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 3月末のインターナショナルマッチウィークで、日本代表はマリ代表、ウクライナ代表との強化試合を行ない、マリ代表に1-1で引き分け、ウクライナ代表には1-2で敗れた。

 率直に言って、ロシアW杯への期待を高めることができたとはいえない試合だった。結果が芳(かんば)しくなかったからではない。その内容に、希望を感じる要素を見つけにくかったからだ。

 ハリルホジッチ監督は、「W杯ではより良い状態の日本代表を見せられると思う」と語っていたが、その言葉を素直に信じられるほど、現在の日本代表が置かれている状況は簡単ではない。

 CBの吉田麻也、右SBの酒井宏樹、MFの香川真司を故障のために招集できなかったことを考慮しても、今回の強化試合にはメンバーをもう少し固定して臨むべきだった。特に、守備に関しては一朝一夕で連係が深まるものではないため、ここまでの試合でともにプレーしたことがあるメンバーを起用してもよかったのではないか。

 仮想セネガルのマリ戦は、かなりテスト色が強い試合になった。日本代表初先発となった右SBの宇賀神友弥をはじめ、GK中村航輔やMF大島僚太など、A代表の出場数が少ない選手がスタメンに名を連ねた。

 不動のレギュラーといえる選手は、MF長谷部誠と左SBの長友佑都のみ。CBの槙野智章と昌子源が実績を積んできたとはいえ、新しく起用された選手たちが多くなり、メンバーが一新されると連係を深めることは難しい。

 これは以前、(田中マルクス)闘莉王が話していたことだが、DFは「味方の長所も見るけど、それよりも味方の苦手なことを把握することに重点を置いている」という。

 守備は攻撃よりもチャレンジ&カバーが重要となるポジションであり、ひとりがボールを奪取するためにチャレンジをしたら、周囲の選手がカバーする。これを実践するには、CBはSBだけでなく、ボランチやGKを含めて互いのプレーの特徴とウィークポイントをつかんでおく必要がある。

 ハリルホジッチ監督は、ウクライナ戦ではDFラインを今までの先発メンバーに近い形に戻している。より本番を想定した布陣なのだろうが、テストマッチが残り少ないことを考えれば、マリ戦も同じようなメンバーで臨むべきだった。とりわけ右SBは、所属チームでは左SBでプレーしている宇賀神ではなく、槙野や植田直通の適性を試すほうが有益だったように思える。

 ひとりでも多くの選手を試したい気持ちはわかるが、W杯に連れていける選手は23人しかいない。CBのファーストチョイスが吉田と昌子になるとして、DFにアクシデントがあった場合に、槙野や植田がCBとSBの両方をバックアップできるようになれば心強い。その2人よりも適性がある選手を、新しい戦力の中から見きわめている時間はもうないからだ。

 W杯が間近に迫ったこの時期は、メンバーを固めてチーム戦術を浸透させ、本番に向けて組織力を向上させるべきタイミングだ。すでに15人のメンバーを決めているブラジル代表がその好例だろう。

 日本代表はメンバーに残るための“サバイバル“が強調されているが、それは「23人のW杯メンバーのうち、最後のピースとなる2、3人が誰になるか」ということであり、今回のように「まだ多くの選手にチャンスがある」という状況を指すことは珍しい。
 
 ハリルホジッチ監督も、昨年末の時点では「3月の強化試合はある程度メンバーを固定して臨みたい」と発言していた。そこからの過程で、多くの故障者が出てしまったことが、その決断を遅らせている要因のひとつだろう。

 そもそも、ハリルホジッチ監督は核となる選手を置かずにチームを作ってきた。たしかに、海外リーグで活躍する選手が増えて代表メンバーが集まる時間が減ったことを考え、組織力や連係よりも「個の力」に頼った“堅守速攻“の戦術をとることは理にかなっている。実際、ハリルホジッチ監督はこの戦術を得意としており、4年前のブラジルW杯ではアルジェリア代表をベスト16に導いた。

4/7(土) 17:30配信 スポルティーバ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180407-00010004-sportiva-socc
 ただし、堅守速攻で相手を圧倒するためには強いフィジカルが不可欠だ。以前より日本代表の個の力は伸びたかもしれないが、まだ強豪国と互角に戦えるレベルではない。そして、体格に恵まれているとはいえない日本人に適した戦術を模索することなく、消化不良な試合が続いたことで、選手たちにやや混乱が生じているように見える。

 マリ戦、ウクライナ戦の後、「監督のやりたいサッカーをしているだけではダメだ」と口にする選手もいた。つまり、監督が「ボールを奪ってから縦に素早い攻撃」を志向しているとしても、状況によってはボールをつなぐ必要があるということだろう。これは、もっともなことではあるが、W杯まで残り約2カ月半のこの時点で出てくるような言葉ではない。

 一方で、自分のプレーの出来についてのコメントに終始する選手もいた。誰もが「W杯に出場したい」と考えていて、そのチャンスをモノにしようとするのは当然のことだろう。監督の指示をどれだけ全うできたかに重きを置き、自身の収穫と課題を分析したくなる気持ちもわかる。

 しかし、W杯本番を目前に控えたこの時期は、本来、選手たちの目標や意識はすでに統一されているべきで、W杯の戦いがどれだけ難しいかを身をもって知っている長谷部や本田圭佑らは、自らのプレーについてポジティブなコメントを一切しなかった。

 W杯でのグループリーグ突破を目指すならば、「W杯に出場しないウクライナ代表やマリ代表に圧倒されているようでは話にならない」という強い危機感があるのだろう。

 今回の欧州遠征での収穫を挙げるとすれば、「個の力で世界に挑んでも世界に通用しないことがはっきりしたこと」だ。その追い込まれた状況が、「組織力を高めていく」という意識でチームがまとまるきっかけになるかもしれない。

 ハリルホジッチ監督は、5月30日に横浜で行なわれるガーナとの壮行試合の翌日に、23人のメンバーを決めると発言している。しかし私は、ガーナ戦に向けた合宿が始まる5月21日の時点で、メンバーを絞り込むべきだと考える。

 メンバーをしっかり決めたうえで、試合までの9日間をより連動性を高めた堅守速攻を実現するための練習に費やしてもらいたい。

 2018年は「W杯イヤー」であるにもかかわらず、日本代表に対する世間の関心は決して高くない。5月のガーナ戦で、多くのファンが希望を持って応援したくなる戦いを見せるためにも、ハリルホジッチ監督が限られた時間を有効に使ってくれることに期待したい。

津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro

引用元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/mnewsplus/1523144404

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