1: YG防衛軍 ★@\(^o^)/ 2015/12/15(火) 22:57:19.20 ID:CAP_USER*.net
ループシュートは記憶に残る。
たとえばラモスのあのシュートも、山口素弘のあのシュートも、随分昔のことなのに(21年前と18年前)、いまだにボールの軌道まで覚えている。
本来なら強く速く鋭く蹴り出されるはずのボールが、ふわりと浮き上がる。その瞬間、時が止まる。
時だけではない。呼吸も止まる。フィールドの選手たちもそうだ。動きを止めて、ボールの行方をただ見つめる。
そして、落ちてくる。はじめはゆっくりと。徐々に降下速度を上げながら。
止まっていた時間と、止めてしまっていた呼吸が動き始め、「ぅぅうわあ」と唸りから高まっていく歓声が最高潮に達した頃、ボールがゴールマウスで弾み、シューターが天に向かって拳を突き上げている。
浮き上がってから落ちてくるまで、せいぜい1秒くらい。けれど、荒々しくて賑やかなゲームの最中に、突然訪れたそんなエアポケットのような瞬間は、長く記憶に残る。
スローモーションのようなボールの軌道とオーバーラップして、スタジアムを包んでいた熱気や、思わず立てた鳥肌や、時にはそのとき自分が抱えていた希望とか焦りとか、そんなものまで一緒に蘇るほど、深く刻み込まれることもある。
ループシュートにはたくさんの記憶を封じ込める力がある、そんな気がする。

*      *

11年ぶりにチャンピオンシップが再開された。「再開」といっても、ラモスがループシュートを決めたあの頃とはレギュレーションはまったく異なる。
賛否が分かれた。成否はわからない。 それでも、とにかくチャンピオンシップを再びJリーグは始めた。
最大5チームが参加できるフォーマットだったが、初年度の今季は「年間勝ち点トップで第2ステージ優勝のサンフレッチェ広島」と「年間勝ち点2位で第1ステージ優勝の浦和レッズ」、それに「年間勝ち点3位のガンバ大阪」の3チームが出場する。
まず浦和レッズとガンバ大阪が「準決勝」を戦い、その勝者がサンフレッチェ広島と「決勝」を戦う。
準決勝は1回戦で土曜に開催。決勝はホーム&アウェーで翌水曜と日曜に行なわれる。
「チャンピオンシップ」と並行して、「J1昇格プレーオフ」、「J2・J3入替戦」も行われる。11月の最終週から12月の第1週まで“特別な試合”が目白押し――というわけで、そんなJリーグのポストシーズンを旅した。

あれ? 空席?
埼玉高速鉄道は怖れていたほど混雑していなかった。チャンピオンシップという「大一番」にすし詰め状態を覚悟していたから、ホッとしながらも、首を傾げながら浦和美園の駅を降りた。
埼玉スタジアムに着いたら、傾げた首の角度が大きくなってしまった。Jリーグ屈指の浦和サポーターが真っ赤に染めているはずのスタンドが埋まっていなかったのである。
ちなみに1週間前のリーグ最終戦は5万2133人、今季のガンバ大阪戦は5万3148人が来場している。しかも天気は快晴。おまけに前日までの寒波が去って、気温も上々。15度という発表だったが、厚着をしてきた
僕はかすかに汗ばむくらい。この時期にしては幸運なほどの観戦日和に恵まれたというのに……。
この観客の入りはナンなんだ? もしかしたらキックオフ直前にドッと入るのか?
そんなことも考えてもみたが、スタンドは一向に埋まらない。
しかし――結局、バックスタンド2階は半分くらい空席のまま、キックオフの笛が鳴った。
記念すべきチャンピオンシップの初戦だというのに、「満員」でないどころか、レギュラーシーズンを下回ることは確実に見えた。

カードも会場も決まらない
ハーフタイムの話題は、もっぱら「空席」と「広島のホテル」だった。「前半」については“苦笑”で、あっさり片付いてしまったのだ。試合後に現日本代表監督がコメントした通り、「選手は疲れていた」と評すしかない内容だった。
「広島のホテル」というのは、チャンピオンシップ決勝の第2戦が行われる広島のホテルがまったく取れないことについて。
“新たなチャンピオンシップ”は、対戦カードと試合会場が直前までわからない。今季に関して言えば、最終節が終わるまで出場チームが決まらなかったし、出場チームが決まらない以上、試合会場もわからない(当然、この準決勝が終わるまで、4日後に行なわれる決勝第1戦のカードも場所もわからない)。

続きを読む