1: 名無し@サカサカ10 2018/02/21(水) 13:30:19.28 _USER9

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■ACLとJリーグ、昨季の浦和が見せた二つの顔

 昨シーズン、浦和レッズは歴史に残る偉業を成し遂げた。アジアの猛者が集うAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の舞台において、Jリーグ勢としては2008年のガンバ大阪以来となる優勝を果たしたのだ。

 垂涎もののタレントを誇る上海上港(中国)や、後にJリーグ王者となる川崎フロンターレ、突出した攻撃のクオリティを示したアル・ヒラル(サウジアラビア)など列強の難敵を次々と撃破しての戴冠である。そういう相手に見せたインテンシティの高いデュエル、泥に塗れることを厭わずにチームのために戦う献身性、勝利への飽くなき執念といったものは浦和の高いポテンシャルを証明するものであり、今後に向けても大きな財産となったはずだ。

 だが、喜んでばかりもいられない。浦和はACLでは最高の結果を残した一方、日常の舞台であるJリーグでは苦杯をなめた。2006年以来となるリーグタイトルを目標に掲げて臨んだものの中盤に失速。5年半に渡って指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチ監督から任期途中に堀孝史監督へとバトンタッチがなされてもV字復活とはならず、7位という失意の結果に終わった。

 ACLで出した成果は間違いなく素晴らしいもので、そこで見せた浦和の底力も間違いなく本物だ。しかし、ACLとJリーグでは向き合う問題に違いがあった。アジア各国の強者が集まるACLでは、相手の多くが己のストロングポイントを前面に出し、力でねじ伏せようとしてくる。特にトーナメントを勝ち進むごとにその傾向は強くなる。そのなかで相対的に実力で劣る浦和は、とりわけ堀監督が指揮を執るようになってからは相手の良さを消す戦術を採用し、粘り強く守って勝機を見出す戦い方で結果を出した。いわゆる“弱者の戦い”である。

 しかしJリーグでは、浦和は弱者とはならない。問題点、弱点もACLの対戦者に比べると、よく知られている。ACLではうまくいった「対処療法」的な戦い方は戦術的にもモチベーション的にもJリーグでは選択できず、正面からぶつかりにいって躓いた。監督交代後の成績を見ると、浦和は最終的に自分たちよりも上位となったチームに一度も勝てず(川崎F、鹿島アントラーズ、柏レイソル、横浜F・マリノスに敗戦。セレッソ大阪、ジュビロ磐田と引き分け)、自らアクションを起こす戦いがなかなかできないという問題点が浮き彫りになった。

 ■昨季と今季のスタイルの違いは?

 今シーズンは堀監督の真価が問われることになる。昨年はシーズン半ばでの就任となり、ACLとリーグを並行して戦う過密日程もあって、チームの建て直しに向けてできることは時間的にも非常に限られていた。しかし、2018年は初めてチームの土台作りに着手できる時間が与えられ、自身が思い描くサッカーを落とし込む作業に集中することができた。昨季は応急処置でACL優勝という偉業を成し遂げたが、今季は指揮官にチームビルディングの力があるかどうかが試される1年になる。

 昨年と今年では求められることが違う。そのことは指揮官も十分承知している。実際、堀監督はシーズン前のキャンプから、理想とするサッカーを実践するための新たな戦術を落とし込んできた。

 基本フォーメーションは昨年同様に指揮官がユース時代から採用している4-3-3だが、両ウイングの動きに昨年との違いが見られる。昨年はビルドアップの段階から中に絞るポジションを取ることが多かったが、今キャンプではサイドに大きく広がって「幅を取る」ことが徹底されている。

 昨年のウイングの動き出しはタイミングとパスの精度が伴えば、中央での守備攻略で威力を発揮するが、うまくいかないと敵と味方の人口密度が高まり「交通渋滞」を起こしやすいというデメリットがある。実際、昨年の浦和はその問題点に直面する試合が少なくなかった。

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