1:Egg ★ :2017/10/16(月) 15:45:01.99 ID:CAP_USER9.net
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第17回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど、日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、W杯へ向けた親善試合でいまひとつ結果の出ていない日本代表のハリルホジッチ監督。世代交代や新戦力の発掘など、課題が多くある中、本大会へ向けてその真価が問われている。

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「監督の仕事は選手をピッチに送り出した時点で8割方の仕事は終わっている」と言われる。ハリルホジッチ監督の仕事ぶりを見ていると、意図しているのか否かは別にして、本当にその通りだと思う。

W杯最終予選で出場権獲得に苦しんだ日本代表を救ったのは、いつも新たに起用した選手だった。原口元気、久保裕也、川島永嗣、今野泰幸、井手口陽介、浅野拓磨、乾貴士…。

世代交代を意図していたかどうかは別にして、選手を招集して適材適所に配置するという点では、最終予選後半戦では采配が的中することが多かった。言い方を変えれば、これは国内組・海外組を問わず、代表クラスの実力を備えた選手が日本にはまだまだいるということの証だ。先日のニュージーランド戦、ハイチ戦では、その采配に迷いが見られたが、11月のブラジル戦、ベルギー戦に注目したい。

ハリルホジッチ監督とは2016年4月に、リーガ・エスパニョーラのレアル・マドリード対バルセロナのクラシコの現地中継で一緒に行動したことがある。当時、日本代表のいろんなポジションについて意見交換したが、その時に話題の中心になったのが山口蛍のことだった。

当時の山口は、3月の日本代表戦で鼻と眼窩底を骨折し、前年末に移籍したドイツのハノーファーで出場できない状況にあって、シーズン終了後にJリーグに復帰すると噂されていた。それもあって、ハリルホジッチ監督に「ボランチはどうするんだ?」と訊ねると、「(山口が)もう日本に戻るのなら代表では使えない」というニュアンスの答えが返ってきた。

確かにボランチは海外でのプレー経験があるに越したことはないが、私は「それだけが基準ではないのでは?」と意見をぶつけた。そこからふたりでいろんな議論をしたのだけれど、振り返れば当時のハリルホジッチ監督は、まだ日本代表のこと、日本人のメンタリティについて理解が十分に進んでいない時期でもあった。

あれから1年半以上の時間を経て、その選手招集を見ていると、セレッソ大阪に移籍した山口を招集していることも含めて、海外組偏重から少し柔軟性が生まれていると感じる。

チームを作っていく上で、経験がある選手は苦しい時に精神的な支柱になれる一方で、バランスを取るのに長(た)けているため、ダイナミックさに欠けるデメリットもある。そのあたりはハリルホジッチ監督もよく理解しているので、今後も新しい選手が加わり、世代交代に拍車がかかっていくはずだ。

Jリーグに目を向ければ、左SBのバックアップにはスピードのある藤春廣輝(G大阪)や、好調時は物凄いプレーをする車屋紳太郎(川崎)を推したい。CBには柏の中山雄太や中谷進之介、川崎の谷口彰悟もいる。中盤なら天野純(横浜FM)や川辺駿(磐田)、大島僚太(川崎)など、各ポジションに面白い存在の選手がいる。

だが、世界と戦うには、彼らはまだまだ線が細いと思わざるを得ない。監督が求める「デュエル」を実践できるフィジカル強度をほとんどの選手は持ち合わせていない。

つづく
2017-10-16_20h17_18
10/16(月) 11:00配信 週刊プレーボーイ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171016-00093150-playboyz-socc
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