サッカー_02

「ワールドカップで戦うには、大きな何かが足りない」

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の言葉だ。今のままではワールドカップで勝つことはできない。日本中を熱狂させることも叶わない。それが、日本代表を率いる指揮官が下した現時点での“自己分析”だ。

日本代表は8月31日、ロシアW杯への出場を決めた。アジア王者のオーストラリアをホームに迎えた大一番で勝利を収めた。試合終了の瞬間、スタジアムには歓喜と安堵の感情が入り混じり、6大会連続の出場決定をお互いに称え合った。

もっともサッカーファンの関心は、もはや「W杯への出場権獲得」から「W杯でどんな結果を残せるのか」に移っている。

2002年の日韓W杯で初めてグループリーグを突破し、2010年の南アフリカW杯では国外で開催される大会では初めてとなる勝利と決勝トーナメント進出を果たした。日本代表に寄せられる期待は、着実に大きくなっている。

過去にアルジェリアを率いてW杯へ臨んだ経験を持つ指揮官は、現状をどう認識し、どうすれば日本代表が世界最高峰の舞台で輝けると考えているのか? 『Goal』(クロアチア編集部)が、その胸中に迫った。

◆苦境だからこそ生まれた新たな可能性

「(W杯への出場権を獲得して)日本はとても強い高揚感に包まれています。ファンは興奮し、誰もがロシアに挑む我々に大きな期待を寄せてくれています」

ハリルホジッチ監督はオーストラリア戦と、その後のファンの反応をそう振り返る。

「日本がロシア行きを決めることは予想されていたことでした。過去5回のW杯に出場しているのですから」

そう語る一方、決して順風満帆だったわけではないとも話す。

最終予選は“出場権獲得確率0パーセント”からのスタートだった。初戦のUAE戦にホームで敗れたことで、大きなバッシングを受けた。現行の予選方式となった1998年のフランスW杯予選以降、
最終予選の初戦で敗れたチームが本大会への切符を獲得できた例が一つもなかったからだ。

さらに主力選手の状態が必ずしもいいというわけではなかった。所属クラブでポジションを失う選手が続出したケースや、けが人が度重なることもあった。ハリルも「今回の予選はこれまでになく難しいものでした。
経験のある選手たち、本田圭佑や岡崎慎司、香川真司といった日本トップクラスのスター選手たちがケガに苦しんでいました」と認める。

それでも出場権獲得に至ったのは、訪れた困難に一つ一つ立ち向かい、克服していったからだ。最たる発見の例を挙げるとするなら、
オーストラリア戦だろう。リオ・オリンピック世代の浅野拓磨と井手口陽介は、W杯出場決定が懸かる大一番で貴重なゴールを決めてみせた。

「若い選手たちにチャンスを与えました。若者たちには恐れや不安も多かったでしょうし、プレッシャーもあったことでしょう。ですが、彼らはオーストラリア戦で素晴らしいプレーをしてくれました。
20代前半の二人の選手(浅野と井手口)がゴールを決めてくれました。プレーさせる上で大きなリスクがありましたが、それでも結果を出してくれた彼らを誇りに思います」

つづく

9/15(金) 11:44配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170915-00010005-goal-socc
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