1: 2017/08/30(水) 08:42:50.29 ID:CAP_USER9
ブラジルで失意に終わった日本代表を引き継ぎ、立て直しに尽力した前指揮官は、いまだ選手たちと良い関係を保ち、日本の動向を注視している。知悉するUAEとの戦いに彼が見た可能性とは? 

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■日本代表は着実に成長している。

 3月のワールドカップ予選の試合を見て、私は確信した。

 この5月まで、私はUAEのアル・ワフダで監督をしていたから、UAE代表については熟知している。代表チームには私のチームの選手もいたし、この国のサッカーは急成長を見せている。それは昨年9月のワールドカップ予選で日本に勝ったことからもお分かりだと思う。

 しかし日本は力の差を見せつけた。個々の技術、チーム戦術、それぞれの選手の所属クラブでの経験値を考えても、日本はUAEを大きく上回っている。アジアの中でも1、2を争うレベルだろう。日本の選手達が躍動する姿は、個人的にも嬉しかった。

■UAE戦前にわざわざ連絡をくれた吉田麻也。

 UAEとの試合は、本当は現場のアルアインまで見に行こうと考えていた。しかしアル・ワフダの練習スケジュールが合わず、結局断念せざるをえなかったのは残念だった。久しぶりに日本代表の試合を生で見られる機会だったし、選手たちともいろいろと話がしたかった。吉田麻也はわざわざ私に連絡してくれて、チケットを準備するからぜひ見に来てくださいとまで言ってくれたんだ。他の何人かの選手もこれまでにコンタクトを取ってくれた。

 過去の監督に対して、このような対応を見せてくれる選手など、なかなかいないものだ。しかも私の場合は途中で代表監督を退いたわけだから、日本代表を率いていたのは実質的には半年と少しだ。それにもかかわらず、良好な関係を保てているという事実は、ひとりの指導者として光栄なこと。選手と監督としてだけでなく、人間としても関係を築けたことは大きな喜びだ。

 3月の日本代表の2連戦を見ても、チームの中心となっているのは、私が率いていた頃に代表にいた選手たちだった。それに加えて、久保裕也らの若手が入り、チームは活性化している。ワールドカップが1年後ということを考えると、理想的なバランスになっていると思う。

■私の目についた選手を何人か挙げると……。

 何人か目に付いた選手をあげていこうと思う。まずは川島だ。特にUAE戦のパフォーマンスは素晴らしかった。彼が決定機を止めたプレーが、試合を決めたと言っていい。所属クラブがない時期もあり、苦しい時期も過ごしたそうだが、プレーレベルはまったく落ちていないし、最後尾での存在感は際立っていた。欧州という舞台、それもフランスという主要リーグで日本人のゴールキーパーがプレーしているというのは、驚異的なことだ。あの環境で得られる経験は、日本とは比べ物にならない。ゴールマウスは今後も彼に任せるべきだと思う。

■麻也はすでに世界レベルだし、昌子や植田もいる。

 吉田麻也の存在感も圧巻だった。今季のプレミアリーグでのプレーは素晴らしいのひと言だった。私が率いていた頃より、さらにひと回り成長している感がある。ハリルホジッチ監督は彼を軸に守備を構築しているが、完全に同意できる。中盤の長谷部も含め、川島、吉田と守備の縦軸がしっかり固まっているのは日本の強みだろう。欧州では一般的に、日本には優れたセンターバックがいない、と言われる。理由とされるのは大抵、日本人は体格的に不利で向いていない、というものだ。

 しかし私はそうは思わない。プレミアでプレーしている吉田はすでに世界レベルの選手だし、アンカーとしても使える森重、そして昌子と植田という若手もいる。この若手ふたりは伸びしろだらけだし、一刻も早く欧州に飛び出すべきだ。鈴木大輔もスペインという環境でやれているし、CBは質も量も十分だと思う。ワールドカップでまず問われるのは、堅い守備力。これがなければ、先に勝ち進むことなどできない。その意味では、守備陣のパフォーマンスが鍵になると思う。

 中盤では、やはり右サイドの久保が目立った。躍動感があるし、広く動き続けながらエリア内でも仕事ができる。今、まさに選手として伸びている。あのポジションは長年本田がやっていたわけだが、監督は思い切って久保を使い、それが機能した。ここ数試合で日本の得点源になっているし、これは素晴らしい判断だったと思う。

つづく

8/30(水) 7:01配信 ナンバー
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170830-00828759-number-socc&p=2
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