1:Egg ★@\(^o^)/:2017/06/16(金) 20:15:58.90 ID:CAP_USER9.net
6月13日、イラン・テヘラン。日本代表は2018年ロシアワールドカップ(W杯)・アジア最終予選、中立地でイラクと戦っている。

「選手を非難できない」

ハリルホジッチ監督は1―1で終わった試合後に語った。予想以上に、過酷な条件でのゲームだったことは間違いない。気温は約38度。サッカーを90分間戦うには、ほとんど生命の危険すら感じる暑さだろう。芝生は長く、地面にはデコボコ。球足は一定でなく、おかしなバウンドをすることもあった。また、主審のジャッジ基準が曖昧かつ気分的。危険なファウルを見逃すなど、W杯最終予選をジャッジするレベルではなかった。

日本は厳しいコンディションによって、けが人が続出。イラク戦までに複数の故障者を出していたこともあって、まるで野戦病院の様相を呈した。例えば、90分間ピッチに立ち続けた久保裕也も最後は足を引きずる状況だった。そんな“アウェー”で勝ち点1を手にし、グループ首位を守った(プレーオフ以上が確定)ことには、一定の評価が与えられるべきかも知れない。

しかしどんな状況であれ、世界的にアウトサイダーのイラクに勝ち切れなかったことは、看過できない現実だろう。

痛恨の失点はGKとCBの連係ミスで生まれている。原則的には、CBの吉田麻也がクリアすべきだった。それが非難されるのは、プロとして適切だろう。

ただ、一つひとつのミスはあり得る。

深刻なのは、日本がイラクを相手に攻め切れていたわけではなく、追加点も奪えなかった点にある。中盤の主導権も取り切れず、後半はむしろ押し込まれた。失点は時間の問題だった。

戦術的に攻守が不安定だった理由としては、MF長谷部誠の不在が真っ先にあげられる。長谷部はDFとFWをつなげ、カバーする、その仕事の質が傑出して高い。わずかな立ち位置の違い、予備動作、ボールの置き方、弾き方で、味方にプレーアドバンテージを与えられる。それはシュート本数やパス本数や走行距離やスプリント数よりも、チームにとって欠かせない仕事と言える。

では、長谷部がいなくなっただけでこの様なのか?

それが偽らざる現実だ。

ハリルホジッチ監督は代役を用意できていない。今野泰幸は故障明けで、山口蛍は故障を引きずり、井手口陽介はほぼぶっつけ本番。遠藤航はイラク戦は中盤で健闘も、浦和レッズではCBを務め、最適の人材だったか疑問は残る。ブルガリアで活躍する新鋭MF加藤恒平を選んだのは斬新だったが、メンバーからも外れた。

一方で指揮官はJリーグクラブで中盤を支える大谷秀和や阿部勇樹には目も向けていない。その選考のズレが、勝ち切れない理由につながっているとしたら──。

「活躍したら代表のユニフォームを着られる」

その公平感がないと、大きな意味での競争は生まれないだろう。

昨年10月のオーストラリア戦や11月のサウジアラビア戦など、“ハリルJAPAN”は確実に戦術的な熟成を見せている。しかし、世界で戦うには、そこにプラスアルファが必要になる。指揮官の嗜好ではなく、結果を出している選手を積極的に呼び、その力を十全に使い切ってこそ、戦い方は広がる。

8月31日、“ハリルJAPAN”はオーストラリアとのホームゲームで、その真価が試される。

小宮良之

1972年生まれ。スポーツライター。01~06年までバルセロナを拠点に活動、帰国後は戦うアスリートの実像に迫る。代表作に「導かれし者」(角川文庫)、「アンチ・ドロップアウト」3部作(集英社)、「おれは最後に笑う」(東邦出版)など。3月下旬に「選ばれし者への挑戦状」(東邦出版)を刊行予定
2017-06-16_21h22_59
6/16(金) 16:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170616-00000017-sasahi-socc
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