1: 2017/03/01(水) 17:20:06.39 ID:CAP_USER9
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本田がシアトルと話し合いをしたのは間違いない。

 その噂は2月24日の朝に急浮上し、瞬く間にイタリア中に広まった。本田圭佑のアメリカ行きが秒読み段階だという。それを聞いた者は一様に首をかしげた。
 
「なんでまたこのタイミングで? 本田はミランとの契約が満了する6月まで、イタリアに残ることが決定したんじゃなかったのか?」
 
 しかし、この日のランチタイムくらいともなると、「すでに本田は荷物をまとめ、飛行機も予約しているようだ」という声があちこちで聞かれるようになる。
 
 行き先はシアトル、移籍先はMLSのシアトル・サウンダーズだ。しかしここから先、噂は色々な方向へと分かれて歩き出す。ある者は「シアトルとの契約はあと少しでまとまる」といい、ある者は「ただコンタクトを取り合っただけだ」と主張する。
 
 では、実際は? 情報源や関係者の話を聞いて私は、この2つの噂の中間というのが最も真実に近いと思っている。
 
 つまり、まず本田がシアトルと話をしたのは確かだ。ほとんどの点において合意もした。もしかしたら年俸などにおける最終的な落としどころまでは決まらなかったかもしれないが、大まかな点ではほぼ話がついて、今後はそれを煮詰めていくという形だろう。近いうちにでも。これらの内容は、イタリアで本田のマネージメントをする人間も認めている。
 
 とにかくこの日は様々な噂の飛び交う、忙しく緊張した1日だった。イタリアのマスコミは本田の移籍に理解を示し、彼との別れも準備していた。後半戦に入っても本田のミランでの状況は、一向に良くならない。いや、それどころか前半戦よりさらに酷くなっている。
 
 なにしろその時点で本田は、公式戦18試合連続でベンチスタートという状態。2017年に入って以降のプレータイムは、1月25日のユベントス戦(コッパ・イタリア)のわずか1分間だ。シアトル移籍騒動後の1月26日のサッスオーロ戦(セリエA26節)を経て、ベンチスタート記録は19試合まで伸び、セリエAではもう10試合連続で出番なしが続いている。

しかし、同日午後になってアドリアーノ・ガッリアーニ副会長の発言が、この噂を断ち切る形となった。彼は「オフレコで頼むよ」と前置きしたあとに、本田の移籍の可能性を質問した者に対して、「それはない」とはっきりと答えた。
 
 それでも騒ぎは収まらなかったので、ヴィンチェンツォ・モンテッラが主催した夕食会のレストランで、ガッリアーニが今度はテレビカメラの前でこう断言した。
 
「この噂を誰が流したかは知らないが、本田はシーズン終了前には移籍しない。これは将来のオーナーである中国人たちとも一緒に決定したことで、本田自身にもそう告げてあるし、モンテッラにもそう言ってある。本田は日々懸命にトレーンングをしていて、我々は彼に満足している」
 
 つまり、本田の現時点での移籍は未来のオーナーたちも望んではいないということだ。しかし、ガッリアーニも本田がシアトルとコンタクトをとったことまでは否定していない。契約満了まで半年を切った選手は、現所属クラブに許可なく他クラブと交渉できるだけに、ルール上でもこれは問題ない。
 
 前記した通り、本田がシアトルと何らかの話をしたことは裏が取れている。ただ、「本田がモンテッラの構想に入っていないから、ミランは本田がいつ移籍してもかまわないと思っている」と考えるのは間違いだ。ガッリアーニがモンテッラはもちろん、中国側まで出してきて報道を否定したのが、その何よりの証拠である。
 
 たしかに今シーズンの本田はここまで95分間のプレータイムにとどまっているし、これからその数字が大きく伸びる可能性は極めて低い。
 
 ただ、シーズンはこれから佳境を迎える。26節終了時点でミランは勝点47の7位。1位ユベントス(勝点66)と2位ローマ(勝点59)ははるか彼方だが、4位アタランタ(勝点51)、5位ラツィオ(勝点50)、6位インテル(勝点48)は十分に射程圏内で、3位ナポリ(勝点54)との差も逆転不可能な数字ではない。ヨーロッパリーグ出場権(セリエA4~5位)はもちろん、チャンピオンズ・リーグ出場権(1~3位)への希望も消えてはいないのだ。
 
 そんな状況下で最大の懸念は、怪我や疲労で選手が欠けること。故障離脱中のジャコモ・ボナベントゥーラは今シーズン中の復帰が絶望的で、リッカルド・モントリーボもあと1か月は使えそうになく、フィールドプレーヤーで現在使える選手は22人だ。
 
 今シーズンは出番がなくても表立って不満を口にしないこともあり、本田はいまも非常事態で使える“保険”だとモンテッラに思われている。だからガッリアーニも現時点で、「シアトルに行っていい」とは言えないのだ。
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