1: YG防衛軍  2017/01/20(金) 21:27:38.01 ID:CAP_USER9

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 「過去2シーズンでリーグ戦68試合中64試合に先発したハセベは、残念ながらサブになった。この32歳の選手がレギュラーポジションを失う状況がさしせまっていることを示す、明らかな合図だ」

 そう『キッカー』誌が辛らつに伝えたのは、今シーズン開幕直前のことだった。シーズン最初の公式戦となったドイツ杯1回戦で、長谷部誠がスタメンから外れたからだ。

 そんな報道を受けて、どう感じていたのか。開幕の少しあと、長谷部はこう答えている。

 「新しい選手も入ってきたし、チームで競争があるのは当たり前なので。それは今までもそうで。ヴォルフスブルクにいたときにも、最終的にはポジションを勝ち取ってきましたからね。初戦に出られなかったからといって、個人的には焦りはなかったです」

 そして、こうも付け加えた。

 「結局、どちらかというと僕は、チームを勝たせるというより、チームのウィークポイントを補うような選手で、そんなに目立たないので。そういう意味では、“評価の難しい”選手だと思うんです」
「彼は日本のベッケンバウアーだよ」

 しかしどうやら、長谷部の言葉は間違っていたようだ。

 もちろん、ポジションを勝ち取れるという自負は正しかった。

 一方で、評価の難しい選手というのは間違いだった。そんなイメージは、すでに変わりつつある。

 「ハセベは、年齢を重ねてからリベロとしてプレーしたローター・マテウスを思い出させるんだ」

 賞賛の声をあげるのはニコ・コバチ監督だ。あるいは、ヒュブナーSD(スポーツディレクター)はこんな例えをしている。

 「彼は日本のベッケンバウアーだよ」

 いまの長谷部は、ドイツサッカー界のレジェンドであり、「リベロ」というポジションを確立したベッケンバウアーや、W杯最多試合出場の記録を持つマテウスに例えられる立場にある。
ボランチとリベロを兼ねる長谷部が戦術の核。

 今シーズンの長谷部はボランチだけではなく、リベロとしてもプレーしている。大まかに言うと、相手が3トップや1トップの場合には、チームは4バックになり、長谷部はボランチとしてプレーする。相手が2トップの場合には、チームは3バックとなり、長谷部はリベロの役割を務める(ドルトムントやバイエルンなど、相手との地力の差が大きいときには例外もある)。

 試合中に相手がフォーメーションを変えてくれば、フランクフルトもまた柔軟に対応する。そんなときに欠かせないのが、長谷部の存在である。ボランチでも、リベロでも、プレーできる彼がいるからこそ、フレキシブルな対応ができるわけだ。

 昨シーズンの3月に就任したコバチ監督は、守備のスペシャリストと呼ばれている。相手の特長を分析して、その長所を消す術に長けている。就任当初は試合の2日前から非公開での練習を行なっていたが、昨年の9月途中からは、試合の3日前から練習を非公開にするようになった。熱狂的なファンを大切にするクラブでありながら、非公開の練習が増えたのは、外部の人に見られたくない戦術面の練習に割く時間が増えたからに他ならない。

 相手の特長を消した上で、有効な攻撃を繰り出す。コバチ監督の方針は、もちろん、様々なデータとなって、表れている。

 第2節 ダルムシュタット戦 ×0-1 ボール支配率71.69%
第6節 フライブルク戦 ×0-1 60.1%
第15節 ヴォルフスブルク戦 ×0-1 58.9%

 フランクフルトはここまで3敗しかしていない。それらがいずれも、ボールを“持たされた”試合で、0-1というスコアで敗れているというのも、ある意味でチームの特長をあらわすエピソードなのかもしれない。

CLプレーオフの出場圏内、4位で前半戦を折り返し。

 逆に、ポジティブなデータはたくさんある。

 ホームでは4カ月負けなしで、昨季は入れ替え戦の末に残留を勝ち取ったチームはCLプレーオフ出場権の得られる4位でウインターブレイクを迎えた。16試合を終えた時点で12失点というのは、クラブ新記録だ。

 お正月気分も抜けない1月2日、日本での短い冬休みをおえて、ドイツへと戻る飛行機に乗る直前のこと。21日に今季のサッカー界を席巻しているRBライプツィヒとの試合から再開するブンデスリーガについて、こう話していた。

 「ブンデスリーガ全体のことをみれば、僕らがライプツィヒに勝ってしまうと優勝争いが面白くなくなってしまいますね(笑)」

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