1: 2017/01/21(土) 11:58:33.66 ID:CAP_USER9
1861f5e4e866984c246dd419d3b6a992

 「恐れるものなど何もない」

 アウェイでのプレミアリーグ21節マンチェスター・ユナイテッド戦を前に、リバプールのユルゲン・クロップ監督は言っていた。似たことがメディアで盛んに言われたのは、今季前半戦の10月。マンUは、ホームでのストーク戦(1-1)とバーンリー戦(0-0)を含むリーグ戦4試合で1敗3引き分けに終わり、巷では新監督のジョゼ・モウリーニョが「もはや“スペシャル”ではない」と言われてもいた。

 同月末のリーグ順位は8位。後半戦2試合目でホームにリバプールを迎えた時点では6位。2つしか順位を上げられないまま、リバプールを含むトップ集団の後塵を拝し続けているように見える。

 だが、実際のマンUは過去2カ月間で大きく変わっている。正確に言えば、モウリーニョのチーム作りが具体的な形を見せ始めた。昨年11月6日の11節スウォンジー戦(3-1)から、プレミア6連勝で臨んだリバプール戦前には、「勝てば一気に優勝争い復帰」と語る識者も現れた。
6バックで引き分けを狙った姿はどこへやら。

 元マンUのポール・スコールズだが、中立的な立場でも頷ける意見だった。オールド・トラッフォードでの12節アーセナル戦では内容でパスサッカー集団を圧倒し(1-1)、翌月の15節トッテナム戦でも、積極果敢な姿勢ではアーセナルに勝るとも劣らない敵に主導権を握られることなく、ホームで勝利していたのだ(1-0)。

 結果的に1月15日のリバプール戦には勝てなかった(1-1)。前半にジェイムズ・ミルナーのPKでリードを許し、フルタイム6分前にズラタン・イブラヒモビッチのゴールで敗戦を免れた格好だった。

 しかし同じ引き分けでも、前回対決でのマンUとは違っていた。アウェイで戦った全快は6バック状態で敗戦回避を狙ったが、今回はタフな中盤をバイパスすべくロングボールを厭わないダイレクトな攻め方ではあったものの、勝利を目指して戦い続けた。前半20分の絶好機を逃さずに先制していれば、攻守にフル戦力ではなかったリバプールからの3ポイント獲得は現実的だった。


ポグバはまだ125億円という移籍金に見合っていない。

 だが、実際には1ポイント獲得にとどまり、再び今季優勝候補として名乗りを上げるには至らなかった。優勝戦線復帰までもう一息、というチーム状態を象徴する存在が、先制機に余裕のあるシュートを外し、その6分後に無謀なハンドで敵にPKを与えたポール・ポグバ。

 23歳のフランス代表MFは、世界最高の8900万ポンド(約125億円)という移籍金額を抜きにしても、モウリーニョの下で復興を期すマンUにおける主軸中の主軸となるべき新戦力だ。昨季までのマンUに欠けていた、中盤の「迫力」を強烈に振りまくことのできるダイナミックでテクニカルなMFなのだから。

 チーム全体としては、モウリーニョが試行錯誤の末に「主要」と判断したパーツが、4-3-3システムで機能し始めている。GKのダビド・デヘアは、優勝を争えなかった過去3シーズンにも欧州屈指の実力を示してきた守護神。その手前の最終ラインでは、フィル・ジョーンズが戦線復帰したスウォンジー戦からマルコス・ロホとのCBコンビが定着し、闘志溢れる守りを見せるようになった。

 35歳という年齢もあって出場機会が限られていたマイケル・キャリックのリーグ戦先発も基本化。自身の脚力の衰えをカバーできるアンデル・エレーラを守備面の相棒に、目ざとく危険の芽を摘み取っては、レンジの広いパスでマイボールを有効活用している。
イブラはプレミアでもイブラだった。

 攻撃陣でも、前線中央のイブラヒモビッチが初挑戦のプレミアでも高い決定力を誇示。大物らしくチームにおける自信の源にもなっている。

 昨夏に加入したヘンリク・ムヒタリアンも遅まきながら突破力を発揮し始め、後半戦突入前に出場した5試合で、プレミア初ゴールを含む3得点。序盤戦ではモウリーニョに「干されている」との見方もあったが、シーズンを折り返す頃には、初先発した4節マンチェスター・シティ戦(1-2)で最悪の出来だった新顔に無理をさせなかった指揮官は「賢明だった」との声も聞かれた。
続きを読む