1: YG防衛軍 ★2017/01/09(月) 22:42:00.73 ID:CAP_USER9



2016年末からサッカー界を賑わせていた中村俊輔のジュビロ磐田移籍話が決定し、8日、横浜F・マリノスから正式発表された。

「スポーツ、サッカーの本質であるべきもの、例えば、楽しさ、喜び、信頼、感謝などを持ちプレーすることが、自分は何よりも大切だと思っています。自分の魂であるサッカーと現役を退くその最後の瞬間まで、真摯に、そしてなによりも喜びと楽しさを持って向き合うため、懊悩煩悶(おうのうはんもん)の末、マリノスを離れる決断に至りました」と本人はコメントしている。それだけ苦しみ抜いた決断だったということだ。

フロントや現場スタッフ、同僚が続々と入れ替わり、自分の信頼する人間が相次いでチームを去ってしまったこと、2015年末のマリノスタウン撤退によって練習環境が著しく悪化したこと、自分のよさを最大限生かしてくれる環境でサッカーに専念しようと思ったこと。そんなざまざまな理由から、彼は38歳という大ベテランになって愛するクラブを去る決心をしたのだろう。

その中村俊輔に去られた横浜は大きなダメージを受けるに違いない。すでに2016年の主力では小林祐三がサガン鳥栖へ移籍。GK榎本哲也が浦和レッズ行きを決め、ファビオもガンバ大阪に赴くことになっている。齋藤学も海外か川崎フロンターレ移籍が有力視されているし、中町公祐、兵藤剛にもオファーが届いているという。主力級で残留するとみられるのは中澤佑二、下平匠、喜田拓也くらい。新戦力として扇原貴宏、松原健、山中亮輔、ウーゴ・ヴィエイラらを補強したものの、チームをゼロから再構築しなければならないのは確かだ。

12月29日の天皇杯準決勝・鹿島アントラーズ戦(大阪・長居)を見ても、後半途中からピッチに立った中村俊輔の左足が絶大な威力を誇った。金井貢史のゴールは幻に終わったが、俊輔のキックがなければ決定機を演出できないといっても過言ではなかった。近年の横浜は中澤らの堅守で失点を最小限に抑え、エースのリスタートからゴールを奪ってしぶとく勝つというスタイルが定番だった。2016年に年間総合10位に甘んじたのも、中村俊輔という大黒柱がケガで離脱し続けたことが大きい。それだけの大きな存在感を誇っていたのだ。

ピッチ外でもキャプテンマークを巻くこの大ベテランの影響力は大きかった。2016年1月に松本山雅FCから横浜へ移籍した前田直輝も「松本の時も練習1時間前にはグランドに行って準備していたけど、マリノスは動き出すのがもっと早い。俊さんと佑二さんは2時間くらい前から来て入念に準備している。そういうのを見てプロ意識の高さを感じた」と語っていたことがあり、本物のトップ選手の見本として君臨していた。マリノスタウンがあった頃の俊輔はオフの日もクラブハウスにやってきて、ケガのケアや交代浴やマッサージなどのリカバリーに努めていたし、練習がある日も食事の後の昼寝を欠かさなかった。家に帰ると子供がいて休めないという事情もあったかもしれないが、とにかくベストコンディションでサッカーに取り組めるように気を配っていた。こういう姿を間近で見ていた若手も学ぶところは多かっただろう。そういった選手がいなくなることはやはり損失でしかない。

中村俊輔が去ったことで、観客数の減少、スポンサー離れといった営業面のマイナスも懸念される。日本代表選手が齋藤学1人しかいない今のマリノスにとって、絶大な知名度を誇る中村俊輔の存在は対外的にも大きかったはずだ。だからこそ、クラブは1億円以上の年俸を払って永久契約をして引き留めようとしたに違いない。それが叶わなかった今季、果たして誰を看板に据えるのか。中澤が残るのならまだいいが、攻撃陣ではインパクトのある選手がいない。磐田が俊輔を補強するのなら、マリノスも遠藤保仁(G大阪)や中村憲剛(川崎)クラスの選手を獲りにいけばまだいいが、そういった策を講じているとも思えない。本当にクラブがどうなってしまうのか心配だ。

マリノスの強みは喜田、遠藤渓太のような優秀な若手がアカデミーから続々と出てきていること。ベテランに頼れないのなら、思い切って若手でフレッシュなチームを作るしかない。むしろエリク・モンバエルツ監督はそれを狙っているはず。俊輔移籍は指揮官も織り込み済みだろうから、そのダメージを最小限にし、違った魅力のあるチームを作るべき。それができなければ、指揮官の信頼もクラブの権威も失墜するだろう。

かつて日本サッカー界をけん引してきた名門クラブが大きな岐路に立たされているのは確か。今季の横浜がどうなっていくのか。そこは大いに注目したいものだ。

http://www.jsports.co.jp/press/article/N2017010911123902_3.html

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