1: YG防衛軍 ★2016/12/16(金) 19:52:26.78 ID:CAP_USER9
「1強6弱」。クラブチーム世界一を決めるクラブワールドカップとは、もはやそういう大会なのかもしれない。

 12月15日に準決勝が行なわれ、ヨーロッパ代表のレアル・マドリード(スペイン)が北中米カリブ代表のクラブ・アメリカ(メキシコ)を2-0で破った。レアルは圧倒的な優勝候補にふさわしい、悠々の決勝進出だった。

 かつて、インターコンチネンタルカップと称され、ヨーロッパ王者と南米王者が雌雄を決するために行なわれていた試合は、紛れもなく世界一決定戦だった。

 だが、大西洋を挟む2大陸でホームアンドアウェーの試合を行なうことは、手間もお金もかかる。また、あまりに互いの対抗意識が強くなりすぎ、特に南米のホームで行なう試合では頻繁に騒動が起こった。選手はもちろん、サポーターにも危険が及ぶ可能性が生じた結果、ヨーロッパ王者が出場を拒否する事態にまで発展した。


 そこで1980年に生まれたのが、トヨタカップである。以来、25年間、クラブチーム世界一を決める一発勝負が日本で行なわれた。

 トヨタカップが始まった当初は、南米勢が優勢だった。だが、次第にヨーロッパ勢が巻き返すようになり、計25回の通算成績は南米12勝、ヨーロッパ13勝。ほぼ互角の勝負が繰り広げられたことは、数字が証明している。

 ところが、トヨタカップの発展的解消により、2005年にクラブワールドカップの歴史が始まると、流れはヨーロッパ優勢へと大きく傾いた(2005年のみ名称はクラブ世界選手権。2000年に単発で行なわれたクラブ世界選手権は除く)。

 2004年以前のヨーロッパvs南米の一騎打ちとは違い、6大陸連盟のチャンピオンが出場するようになったが、実力的にいえば、出場枠を下に広げただけのこと。ヨーロッパ勢を脅かす存在となりえないのは当然だった(2007年から開催国チャンピオンの出場枠が加わった)。


 昨年までのクラブワールドカップ通算11回の成績では、ヨーロッパの優勝8回に対し、南米はわずかに3回。しかも、3回のうち2回は大会がスタートした当初の2005年、2006年のもので、2007年以降の9年間で言えば、2012年にコリンチャンス(ブラジル)が勝ったのみである。

さらに言えば、ヨーロッパ勢が全11大会すべてで決勝進出を果たしているのに対し、南米勢は2度、準決勝でアフリカ勢に不覚を取っている。今大会も、すでにアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)が鹿島アントラーズに敗れている。


 現在のサッカー界における人材の流れは、ヨーロッパへの一極集中。南米に限らず、優れた才能は世界中からヨーロッパに集まり、しかも若年化が進んでいることを考えれば、必然の傾向ではある。

 かくして、唯一ヨーロッパ勢のライバルとなりえた南米勢さえ、すでに2強と呼べるほどの力はなく、「6弱」のトップに位置する南米勢は、むしろ番狂わせの格好のターゲットとなりつつある。

「6弱」のなかにも、もちろん実力差があり、序列はある。とはいえ、その差は小さなものであり、何が起きても不思議はない。

 しかし、「1強」は別格だ。「6弱」のひとつと対戦し、少々の「事故」が起きたところで試合結果がひっくり返ることはまずない。それほどまでに実力差は開いている。

 レアルの準決勝を見ればよく分かる。対戦相手のクラブ・アメリカは、かなりうまく試合を進めた。しっかりと人をつかまえるディフェンスで、能力の高いレアルの選手をフリーにさせず、しかもただ守るだけではなく、効率よくカウンターにもつなげた。

 一方のレアルは明らかに動きが重かった。長距離移動や時差によるものなのか、あるいは意図的にセーブしていたのかは分からないが、プレーにスピードが欠け、攻撃のテンポはなかなか上がらなかった。

 クラブ・アメリカのリカルド・ラ・ボルペ監督が「試合は拮抗していた。相手が優位だったとは思わない」と語ったのもうなずける。

 だが、それでもクラブ・アメリカは勝てなかった。集中力が切れやすいと言われる、前後半それぞれのロスタイムに、レアルはきっちりと1ゴールずつを決めて2-0。

「ピッチが少し硬く、前半は難しかったが、後半はいろんな形でチャンスが作れてよかった。クリスティアーノ(・ロナウド)が(2点目の)ゴールを決めてくれたし、今日の試合には満足している」


 そう語るレアルのジネディーヌ・ジダン監督の表情からは、余裕しゃくしゃくといった様子がうかがえた。スコアのうえでは、それなりの接戦でも、慌てるまでもなかったというのが率直な気持ちだろう。

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