1:Egg ★@\(^o^)/:2016/12/11(日) 12:10:15.32 ID:CAP_USER9.net
“憎まれっ子世にはばかる”という言葉があるが、クラブ・アメリカほどそれを地で行くクラブは世界中でもそう多くないだろう。

ビッグクラブが中小のクラブから有力選手を引き抜くというのは世界中のどこでもある話だが、クラブ・アメリカはタイトルを争うライバルからも多額の金銭で引き抜く。

近年でも2010年にDFパウル・アギラールをパチューカから、2014年にFWオリベ・ペラルタをサントス・ラグーナから獲得した。また同じ1部リーグに所属するアトランテからの移籍が多く、事実上の下部組織状態になっていることもライバルの反感を買う1つの理由だ。2011年にはアトランテを指揮していたミゲル・エレーラ監督が引き抜かれる形でクラブ・アメリカの監督に就任し、そこからブラジルW杯でメキシコ代表を率いるまでになっている。

また外国人選手も南米の代表クラスを積極的に獲得するが、そこにも悪名を高める要因がある。メキシコリーグの外国人枠が5人に制限されているが、二重国籍の選手はそれに当てはまらない。つまり外国人として加入した選手が長くクラブに止まり、メキシコ国籍を取得すれば晴れて外国人枠から外れるわけだ。それ自体は悪いことではないが、クラブ・アメリカの場合はこのルールをフル活用して、事実上の多国籍軍を形成しているのだ。

現在のメンバーを見ても、33人のトップ登録選手のうち、12人が国外出身の選手。12月5日のネカクサ戦ではスタメン11人のうち“純メキシコ産”の選手は3人しかおらず、交替カードも3枚のうちメキシコ人は1枚。
残る2枚はパラグアイ代表MFのオマル・マルティネスとエクアドル代表のミカエル・アローヨという始末である。

なりふり構わない選手獲得を可能にしているのが潤沢な資金力と全国的なネームバリュー。その2つの要素を担うのがメキシコ最大級のテレビ局である「グルポ・テレビサ」。国内の放送局で複数の地上波チャンネルを持ち「TVアステカ」と二分する。当然ながら新聞などの報道機関にも多大な影響力を持っている。

言わば“メキシコの読売ジャイアンツ”の様な存在なのだ。欧州でも最近はクラブが単独で専門メディアを所有する時代になっているが、国家的なテレビ局をバックにしているというのは常識から外れる。

そうした体質を持つクラブ・アメリカは露骨なメディアコントロールで多くの“アンチ”を生んでいるが、熱狂的なサポーターも多く、“チーバス”グアダラハラに次ぐ二番目の人気を誇る。興味深いのはメキシコリーグの“ヒール(悪役)”であることを何の恥とも思っておらず、むしろアピールする風潮があることだ。

メキシコでは“ルチャ・リブレ”の名前で知られるプロレスがサッカーにも負けず劣らず人気だ。そのルチャには善の象徴でアルベイビーフェイスと悪の象徴であるヒールに分かれ、リングの内外で抗争を繰り広げていくが、必ずしもベイビーフェイスが勝つとは限らない。

つまり勧善懲悪ではないのが“ルチャ・リブレ”の魅力の1つでもあるのだ。スポーツの世界であっても、ヒール役を買って出る存在がいてこそ世界観が成立する。
そうした伝統こそが、クラブ・アメリカが多くのサポーターとアンチを獲得しているバックボーンなのだろう。

だからクラブ・アメリカがCONCACAFチャンピオンズリーグで優勝し、クラブW 杯に参戦することはメキシコ国内で大きな関心事になっていす。当然、大会で勝利すればサポーターやファンは驚喜し、負ければアンチは「ざまあ見ろ」と反応する。メキシコの代表として国をあげて応援するということはあり得ないが、

リーグ最強のヒールが世界で躍進すれば、国内のライバルにとっても倒しがいが出てくるというもの。その意味ではクラブ・アメリカがメキシコのプライドを背負って世界と戦うことに違いはない。

文=河治良幸
2016-12-11_14h54_16
GOAL 12/11(日) 11:37配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161211-00000004-goal-socc
続きを読む