1: Egg ★t 2016/09/01(木) 00:12:16.19 ID:CAP_USER9

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少し気になったことがある。本田圭佑(30=ACミラン)のことである。  

W杯アジア最終予選に臨む日本代表合宿を取材して、彼の言葉にこれまであった熱が、感じられなくなった。8月29日の取材対応日。大勢の報道陣に囲まれた取材でこう言った。

 「(ACミランでの)序列も今までと何が状況が変わったかと言うと、僕が契約満了に向かっている選手という扱いになっている。(評価が)低いんで。そういう意味では、もう少しアプローチの仕方を変えないと(試合に)出られない感じがする。 

基本、イタリア語でコミュニケーションが取れないんでね。あんまり、僕から(モンテッラ監督に)寄っていくことはないのですけど。ちょっと(英語を)しゃべれるモントリーボを使って、コミュニケーションを取ろうとも考えたりもね。(そう)しようとするところまで、まだいっていない。しないかも知れないですけれどね」

 セリエA開幕から2試合がたち、いまだにピッチに立てていない現状をそう明かした。たった6分間の合同取材。しかもたくさんの記者が囲んだ場だったから、どこまでが彼の本音だったかは分からない。

「もう少し聞かせてくれ」と頼んでも、本田は振り向きもせずに取材エリアを歩き去ってしまった。

 まるで人ごとのようなコメントだった。契約が残り1年になった選手を積極的には起用しなくなるのが、欧州クラブの常識なのか。例えそうだとしたなら、どんな常識でさえも覆していくのが本田圭佑の生き様ではなかろうか。

「僕から(監督に)寄っていくことはない」という発言も、とても本田らしくない、冷めた感じがしたのは私だけではないだろう。

 日本がW杯で優勝することなど、誰も本気で信じてはいない。だが「世界一の選手になりたい」と、「W杯で優勝したい」と、彼は言い続けてきた。

10年W杯南アフリカ大会で16強入りし、それからも彼が信念を曲げなかったことで、14年W杯ブラジル大会では、うまくいけば4強くらいはたどり着けるのではないか-。

本田の強烈なリーダーシップがあったから、そんな夢を見た人がいたのも事実だろう。私もその1人だし、だからこそ本田を取材するために、長い間、世界中を旅してきた。

 生き急ぐ人である。

 最近はオーストリア2部・SVホルンのオーナーとしての一面だけでなく、自らを「教育者」と呼んでピッチ外の活動に精を出すようになった。

 実業家としての側面を持つがゆえ、本業のサッカーで結果が出なければたたかれるのも承知の上だろう。

 だが、あえてここに書く。

 教育者なのであれば、子供たちが夢を持てる最も有効な手段は、本田がピッチに立ち、活躍することである。

ベンチに座っているだけの選手に、なかなか夢を持つことはできない。出場機会を得られていないACミランで、モンテッラ監督に自らの熱い思いを訴えかけ、それで試合に出られるのであれば、そうするのも1つの手段ではないか。契約が今シーズン限りだということも、言い訳にもならない。

 まだ30歳。老け込む年齢ではないはずだ。もうひと花も、ふた花も咲かせて欲しい。これから始まるW杯アジア最終予選はもちろん。ACミランでも、まだシーズンは開幕したばかりだ。

 世界一になると言って譲らない。そんなギラギラした本田圭佑が、また見たいのである。


 ◆益子浩一(ましこ・こういち)1975年(昭50)4月18日、茨城県日立市生まれ。00年大阪本社入社。プロ野球阪神担当を経て、04年からサッカー担当。W杯は10年南アフリカ、14年ブラジル大会を取材。本田がA代表に定着した09年から密着取材を続ける。

http://www.nikkansports.com/soccer/column/writers/news/1703028.html

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