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1: 2021/12/28(火) 12:21:29.31 ID:CAP_USER9
 多くのスポーツ競技はマイナーに分類される。五輪のときにメダルをとれば、瞬間的には盛りあがるが、どこも次世代の選手確保は悩みの種だ。しかし日本では野球とサッカーだけは別格で、取り組む子どもの確保に悩まされる事は無いだろうと思われていたが、近年はどちらも競技人口、とくに若年層の減少に悩まされている。俳人で著作家の日野百草氏が、少年サッカークラブのコーチに少子化と子どものサッカー人気について聞いた

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「いま、コロナ関係なくサッカーで子ども集めるのって大変なんです、少年野球を笑ってられません」

 関東の少年サッカークラブでボランティアをしている50代のコーチが語る。サッカーは子どもの人気スポーツ、小学生の将来なりたい職業でも野球選手や医師とともに長年上位の常連だ。確かに少年野球人口が減っているという報道はよく聞くが、子どもたちのサッカーもそうなのか。

「調べてみればわかります。サッカーする子どもは確実に減ってますよ」

 野球サッカー何でもござれの運動場、ボロボロのベンチに腰掛け、実際に手元のタブレットから公益財団法人日本サッカー協会(JFA)登録で調べてみると確かに減っていた。一ファンである筆者が思う以上に減っていた。野球はともかくサッカーは安泰と思っていたが数字は嘘をつかない。

「小学生は4種に当たるのですが、この通りです」

 基本、公式戦に出場するには学校の部活であれ地域クラブであれ日本サッカー協会(以下、JFA)への登録が義務づけられている。一般社会人や大学生が第1種、高校生が第2種、中学生が第3種、そして小学生が第4種となる。その4種を見ると2014年に31万5,178人、しかしその5年後の2019年には26万9,314人で5万人近くの減少と、コロナ禍と関係なくサッカーに取り組む子どもたちが減っていることがわかる。そのコロナ禍の2020年は25万3,745人。しかし小学校で辞めてしまう子もいるが中学から始める子もいるはずで、そちらも期待できるはず。

「さらに減りますよ。中学生は3種登録です」

 中学生・第3種は2014年が26万8,518人、その5年後の2019年は22万9,537人とこれまた4万人近くが減っている。2020年は20万5,771人。

「近々3種は20万人切ると思います」

2: 2021/12/28(火) 12:22:37.15 ID:CAP_USER9
週刊ポストセブン
https://news.yahoo.co.jp/articles/b5cd58b388feac8a8cd2e34710552805f576781a

JFAにとって登録料も大きな収入

 日本中学校体育連盟の統計による中学校のサッカー部員数も調べてみると2013年が25万3,090人、2020年には15万8,337人と7年間で10万人近くも減らしている。サッカー部のある中学も2014は7,003校あったのが、2019年には6,774校とこちらもコロナ関係なく減っている。この場合、その中学からサッカー部そのものが消えたということだ。

「ジュニアサッカーは学校の部活よりアカデミー(プロチームの育成組織)とか街クラブ、少年団にシフトしてますが、それでも減りすぎです」

 ちなみに同連盟によれば中学校の軟式野球部も2013年で24万3,664人、2020年が14万4,314人でこちらも10万人近く減らしている。どうやらサッカーだ、野球だの人気云々だけではないようだ。

「高校からいきなり始めるって少ないですからね」

 確かに、高校から野球やサッカーを始める子もいないではないが少ないだろう。とくにサッカーは16歳でプロ契約もある世界、選手生命も短いとされる。小中生、とくにサッカー小学生の減少はその先のさらなる減少にも繋がることになる。

「もちろん一番の問題は少子化です。本当に子どもの数が減ってますから」

 少子化についてはいまさらだが、少子化でもサッカー人気があれば、とくに日本代表の人気があれば子どもたちはサッカーを選んでくれる、というわけでもなさそうだ。

「子どもたちの興味が他に移ってるのもあるでしょうね、You TubeとかTikTokとか、サッカーだけが食われてるわけじゃないですが、そういった新しい分野に子どもを取られているのかもしれません」

 それは確かな話で、実際にユーチューバーという職業が子どもたちのなりたいランキングのサッカー、野球、医師といった常連に割り込んで久しい。他にも中学生では「歌い手」や「ボカロP」「ゲーム実況者」「eスポーツプレイヤー」などが上位を占めるようになった。

「一人でできる遊びのほうが人気なんでしょうね、程度にもよりますが、集団行動が苦手だとサッカーは難しいです」

 それも含めて子どもたち志向や行動の多様化は事実だ。それでも人口比で言ったらサッカー強国とされるオランダが総人口約1700万人、ベルギーに至っては約1100万人と東京都の人口より少ない。絶対的な人気さえあれば、全体の数の問題ではないのでは。

「それはそうですが、裾野の広さは有望なプロ選手候補をたくさん育てるとかだけじゃないんです。JFAにとっては登録料も大きな収入ですから」

4: 2021/12/28(火) 12:23:03.02 ID:CAP_USER9
裾野のサッカー人口、登録者数が減れば公益財団法人としての事業が成り立たなくなる。2014年度は21億円の黒字だったが近年は赤字体質、2021年度は28億円の赤字を見込んでいる。さすがにコロナ禍が追い打ちをかけた結果だが、赤字の解消見込みは立っていない。象徴でもある文京区の日本サッカー協会ビル(以下、JFAハウス)を売る可能性もある。

「それは仕方ないと思います。サッカー第一、選手第一を考えているJFAですから、貧乏にもなれているでしょう」

子どもがサッカーを支えてくれることが一番
 コーチの言う通り、資金潤沢だった日本野球機構(NPB、こちらも現在は厳しい)と違い、かつてのJFAは貧乏所帯だった。日本リーグ時代は他のアマチュアスポーツ団体と同様に岸記念体育会館に間借りして細々と運営していた。やがてJリーグが盛り上がり、日本がワールドカップに出場するようになると組織を拡大、1997年に本格的なトレーニングセンターとしてのJヴィレッジ、2003年には2002日韓ワールドカップの収益で悲願の本部、JFAハウスを手にすることができた。さまざま批判はあれどこの急成長、本当にすごいことである。何よりサッカーが残ることが大切、JFAは、資産的にはまだ潤沢で十分に耐えられる、だからこその赤字、それに対応する将来のための削減なのだろう。

「それでも少子化と多様化にサッカーも対応しなければいけません。うちも子ども集めが大変ですが、集まらないなりにサッカーを続ける努力が大事です」

 子どもが集まらない理由は他にもある。昔に比べればマシになったが、かつての体育会系は理不尽なシゴキとイジりにまみれていた。

「そのイメージがあるので敬遠する親子もいます。そりゃ勉強したほうがいいでしょうし」

 拙筆『中田翔移籍問題で考察 スポーツ界のいじり根絶は指導者の責務だ』でも言及したが、野球サッカー問わず、こうした体育会系を敬遠する子どもはもちろん、かつて自分もされたがために敬遠する親もいる。お金も時間も使うなら、塾に行ったほうがいいと思うのも無理もない。

「いまはそこまでではありませんし優しく楽しくがモットーですけどね、それでも子ども集めが難しいのは事実です。大人だって減ってるわけで」

 子どもたちだけではなく、JFAの全登録選手数は2014年の96万4,328人をピークに2019年は87万8,072人、コロナ禍の2020年は81万8,414人に減ってしまった。

「シニアは結構がんばってるんですけどね、Jリーグのサポーターも含め高齢化してると言われればそれまでですが、それでも裾野は広いほうがいい」

5: 2021/12/28(火) 12:23:22.51 ID:CAP_USER9
Jリーグ世代、ワールドカップ初出場に湧いた中心世代もいまや40代50代、2019年のJリーグスタジアム観戦者調査(サマリーレポート)によれば、サポーターの平均年齢は42.8歳ということでまさしくこの辺りだろう。高齢化は確実に進んでいる。コロナ禍による無観客、観客制限は厳しかったが徐々に緩和されることを期待するしかない。

「やはり子どもがサッカーを支えてくれることが一番なんです。少子化でもサッカーを選んでもらえるように上も下も努力しなけりゃいけません」

 少子化により学校も企業も子どもの奪い合いとなって久しい。2020年の出生数は84万人で過去最少を記録した。2021年上半期の速報値では40万5029人と最少更新どころか80万人を割り込むのは時間の問題である。ちなみに筆者の生まれた1972年の出生数はおよそ200万人(!)、団塊ジュニアと呼ばれる1971年から1974年まで毎年200万人台で、この世代の競争は厳しかったわけである。もちろん団塊世代と呼ばれる1947年から1952年も毎年200万人台を記録、この2世代に比べると昨今の人口減は深刻極まりない。

 人口減による子どもの奪い合い、奪い合いに近年あらゆる人気を独占してきたサッカー界も巻き込まれようとしている。それにしても子どものサッカー人口、あくまでJFAの登録者数上のこととはいえ深刻である。有料ネットの独占配信により代表戦の地上波が減っていることも個人的に気がかりだ。短期的な資金源としては魅力的なのだろうが、子どもたちの目にする機会そのものを奪い、大切なはずの裾野そのものを徐々に蝕むかもしれない。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。著書『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)他。

引用元: http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/mnewsplus/1640661689

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