サッカー_02

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1: 2018/11/19(月) 11:34:42.02 ID:CAP_USER9
念願の日本代表デビューを果たし、一夜明けた17日には2016シーズンに期限付き移籍し、飛躍するきっかけを与えてくれた松本山雅FCが4年ぶりのJ1復帰を決めた。二重の喜びに浸っていた間には、100件近い祝福のメッセージが無料通話アプリ『LINE』を介して届いている。

 日本サッカー協会(JFA)から発表されている身長197cmは、実は最近になってさらに1cm伸びている。日本代表のゴールマウスを守ってきた歴代のゴールキーパーのなかでも、飛び抜けて大きなサイズで注目を集めたシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)が、胸中に秘める大きな夢を明かした。

 年内最後の一戦となる20日のキルギス代表戦(豊田スタジアム)へ向けて、豊田市内へ場所を移して再開された日本代表合宿の2日目を終えた18日。取材エリアで海外挑戦の意思を問われた26歳は「正直、いますぐにでも行きたい」と間髪を容れずに答えた。

「希望は特にないというか、レベルが高ければ高い国ほどいいと思っていますけど、家族のこととかいろいろと考えるべき問題があるし、言葉の問題もある。何よりもプレーヤーとしてヨーロッパから必要とされるレベルにはまだ達していない。それでも、まずは(ヨーロッパのクラブに)身を置いてみるとか、そういうチャンスがあればいいな、と」

 公言してはばからない海外志向の強さは、歩んできたサッカー人生と密接にリンクしている。宮城・東北学院高校に進学した2007年。15歳にして190cm近くあった長身を見込まれたシュミットは、中学時代まで務めていたボランチからキーパーへとコンバートされた。

このときに手本として、当時の世界最高キーパーに憧憬の思いを抱いた。オランダ代表及びマンチェスター・ユナイテッドの守護神として圧倒的な存在感を放ち、197cmの長身から「摩天楼」と呼ばれていたレジェンド、エドウィン・ファン・デル・サールの一挙手一投足を追った。

「足元の技術もあって身長もあったので、自然とファン・デル・サールを見ていました」

 その後もシュミットの視線はヨーロッパで活躍するキーパーたちへ注がれ、必然的に海外でプレーする夢が育まれてきた。いまでは正確無比なキックの精度から世界最高の評価を得ている、エデルソン・モラレスが絶対的な守護神として君臨するマンチェスター・シティFCを強く意識する。

「ビルドアップの部分ではエデルソンが世界一だと思っているし、ボールのスピードや味方につける場所も含めて、すごく勉強になる。エデルソンのような速いボールが、自分には足りないと思っているので」  

11/19(月) 5:00配信 The pages
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181119-00010000-wordleafs-socc
 初めて日の丸を背負った16日のベネズエラ代表戦。ファンやサポーターの関心を集めたのが、味方へ繰り出された正確なフィードだった。何度も攻撃の起点になった一方で、ほとんどのキックが山なりの軌道を描いていた点を直撃すると、シュミットからこんな言葉が返ってきた。

「理想を言えば、もうちょっと低い弾道で蹴れればいいんですけど。もっと練習して、もっと短い時間で味方へボールを届けられるようにしたい」

 低くて速いボールをピンポイントで蹴ることができれば、高さで相手より劣ることの多い日本人選手が空中で競り合う必要もない。相手のプレスを瞬時にしてかいくぐる形になるので、カウンターの起点にもなる。プレミアリーグを席巻するモラレスのキックに近づくことが、夢に近づく手段にもなる。

 もっとも、キックにはこだわり続けるものの、思い描く完成形になるために必要なすべてではないといまでは考えている。

中央大学へ進んだ2010年から3シーズン連続で、JFA・Jリーグ特別指定選手として川崎フロンターレに登録された。そのときに指導を受けた育成年代のエキスパート、キーパーコーチの澤村公康氏と2015シーズンに期限付き移籍したロアッソ熊本で偶然にも再会したことが転機になった。

「自分のなりたいキーパー像について、熊本へ行ったときにいろいろと話し合いました。それに向かって、いまはやっていきたいと思っているので」

 こう語ったことがあるシュミットは、キックに偏っていた考え方が変わった澤村氏との話し合いの中身をなかなか明かさない。ただ、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督が2016年秋に実施した、キーパーだけを対象とした日本代表候補合宿へ抜擢されたシュミットはこんな言葉を残している。

「日本人で『デカい』と言われるキーパーがあまりもっていないような、動きの速さといったものを自分はもっと出せると思うので。そういう部分をもっと、もっと出していきたい」

 動きの速さはビッグセーブを生み出すだけではない。ただでさえサイズが突出したシュミットが長い手足を大きく広げれば、大きな威圧感を相手へ与えられる。平均以上の俊敏性も搭載しているとなればさらに脅威は増し、より正確にコースを狙ってシュートを打たなければいけない、という焦りがミスを誘発する。
  今年のワールドカップ・ロシア大会は、サイズと俊敏性を兼ね備えたキーパーが活躍した。 
 西野ジャパンの前に立ちはだかったベルギー代表の守護神、199cm、96kgのティボー・クルトワ(レアル・マドリード)もその一人。テレビ越しに見たシュミットは、進んでいく道に対する思いを新たにしている。

「世界基準のキーパーがこうだ、というのがサッカーをやっていない人にもある程度認識された大会だったと思う。キーパーに対して求められるものが高まったとも思っているので、そういう目で見ている人たちからもいい評価を得られるようにしたい」
 
 ベネズエラ戦におけるプレーは、特にビルドアップの起点になる部分で、森保一監督も高い評価を与えている。しかし、日本人で突出した「高さ」に「動きの速さ」、さらに
「正確なキック」を融合させた姿を思い描くシュミットは「まだまだほど遠い。(100点満点で)50点くらいですね」と満足していない。

 減点の対象には、2歳のときに生まれ故郷のアメリカ・イリノイ州から宮城県仙台市へ移り住んだこともあり、完璧には身につけられなかった英語も含まれている。理想のキーパー像へ限りなく近づくことで、海外でプレーする夢をもかなえられると信じながら、シュミットは地道な努力を積み重ねていく。

(文責・藤江直人/スポーツライター)

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