1: 名無し@サカサカ10 2018/03/21(水) 20:49:54.13 _USER9

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発足から26年目のシーズンを迎えるJリーグは、11年ぶりに総クラブ数の増減なしと表面的には変化のない、静かなスタートを切りました。そんななか、話題を呼んだのが一挙5選手に増えたタイ人Jリーガーの存在。今季から広島に加わったティーラシン選手が開幕戦でゴールを決めるなど、存在感を見せています。アジア戦略の一環として2012年からタイを始めとするアジア各国とJリーグの連携を進めてきたJリーグマーケティング海外事業部の小山恵氏に聞きます。(取材・文:大塚一樹 写真:松岡健三郎、VICTORY編集部、GettyImages)

アジアに目を向けるJリーグの戦略とは?

各クラブの選手、そしてサポーターたちにとっては、「毎シーズンが特別なシーズン」なのは間違いないが、DAZN元年で話題を呼んだ昨シーズンと比べても、一般メディアや巷の話題に「Jリーグ」が登場する回数は決して多いとは言えない。これは日本におけるプロサッカー、Jリーグの存在が「当たり前のもの」として良くも悪くも定着したということだろう。

定着を安定と見ることもできるが、当のJリーグは、こうした状況に危機感を持っている。2012年に発足したアジア戦略室では、国内需要の鈍化という不安要素と、サッカーの持つグローバルな可能性というポジティブ要素両面に目を向けて、対策を練ってきた。

「国内の市場だけを見れば、これから先はシュリンクしていく一方。Jリーグの事業面を考えてもこのままではいけないという危機感は常にありました」

Jリーグマーケティング海外事業部の小山恵氏は当時の状況についてこう語る。

「そういう危機感を持っている中で、隣を見れば手つかずのアジアがあった。特にASEAN諸国は、これから人口も増加していきますし、経済的には成長する一方です。国家としてのポテンシャルが高い国々がたくさんありました。もちろんヨーロッパ各国のリーグ、クラブもそこを狙い始めている中で、Jリーグとして戦略を持ってしっかりアジアを取り込んでいくという趣旨で立ち上がったのが、アジア戦略室でした」

2012年に発足したアジア戦略室は、アジア各国の経済的な現状、サッカー事情、リーグの内情など、多岐にわたる分析をはじめた。さまざまな国にアプローチし、成果も徐々に生まれているが、なかでも「成功例」として実を結びつつあるのが、ASEAN2位の名目GDPを誇るタイ王国との連携だ。

ここからは一問一答形式で小山氏に詳細を聞いていこう。

チャナティップがもたらした大きな変化

――昨季のチャナティップ選手(北海道コンサドーレ札幌)の活躍は、タイ人Jリーガーの可能性を広げる大きな出来事でした。

「チャナティップ選手の昨シーズンについては、我々もドキドキしながら観ていましたね。結果としては『想像以上に活躍してくれた』。これに尽きます。チャナティップ選手の札幌加入で、これまで準備してきたことが目に見えて動き出しました。タイでJリーグの放送が頻繁に行なわれるようになり、リーグの認知度も一気に上がりました。『たった1人の選手でこれだけ変わるのか?』とこちらが驚いたくらいです」

――タイでの変化でいうと具体的にはどんなことが?

「大きいのはもちろんテレビ放送ですよね。タイの大手放送局であるTrueがJリーグのライツホルダーになっているんですけど、2017シーズンはJ1・3試合、J2・1試合の週4試合を放送しています。Trueというのは、モバイル通信のキャリア、ブロードバンド事業、有料放送事業も行うタイでは知らない人がいない通信メディアのコングロマリットなんです。Jリーグの中継も地上波、有料放送、スマホなどに直接配信するOTTと幅広い露出が確保されています」

――放送の拡大によってタイにおけるJリーグの知名度、認知度、存在感も向上している?

「そうですね。Jリーグでは、タイ向けにFacebook公式ページを立ち上げてタイ語で情報を発信しているのですが、チャナティップ選手加入前は1万人前後だったいいね!数が一気に17万人にまで増えました(>>2018年3月現在は18万人以上)。この辺りはまさに“チャナティップ効果”ですね」

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